「歩兵の舞」おわりに・・・私の歩一色図式の創作法     
 
 作品集は解答編が終わると、特に加えることもないのですが、ここで手筋物の歩一色を
どのように作ったかを簡単に述べたいと思います。「はじめに」で述べたように無仕掛け
模様からの作図と、形からの作図は容易に推定出来ますが、手筋物はわかるでしょうか?。
 作りたい手筋と、歩一色の初形を一度に作るのは、非常に希です。では、どうするか
といえば、歩一色になりやすい形で手筋が成立する形を見つけることからはじまります。
どのような形が望ましいかと言えば、
(1)玉方の守備駒が歩のみであること。
(2)歩以外の攻め方の駒が1または2枚と少数であること。
(3)上記の攻め方の駒が出来るだけ、生駒であること。成り駒は打てないので、一度
打ってから移動していますので、かなりやっかいです。
 
 これがだいたい出来れば、2つの作業があります。まず、正算(正しくは順算と
言った方が合いますが)で、詰めまで進めて手順を完成させます。これで終わりで無い
ので通常はあまり検討しませんが、これがあとで泣きをみます。
 次に上記の初形から逆算で攻め方の歩以外の駒を盤面から消す作業が必要です。普通は
歩を足場に駒を打つ形を探します。大駒の離し王手もありますが個人的に嫌いなので
私はやりません。この時、複数の駒があるとき・駒が成っているときは逆算が困難に
なるのは常識的に理解出来ると思います。本作品集を見ると、かなりの数が痕跡が
残っているのにきずくと思います。できるだけカムフラージュをして完成し、再び検討と
推敲にもどります。でもほとんど、発展性が無いのがこの条件です。
 さて、順算と逆算の2つの作業は結果的にはどちらが先でもよいのですが、私は
上記の順番を奨めます。理由はうまく行かないのが多いですので、その時は素材を
捨てるか、条件作としては諦めるかしかないのですが、とにかく詰み形まで持って
いけておれば、普通作として作りかえれる可能性がより高いからです。やはり、素材も
時間も無駄にはしたく無いので、ころんでも別の道に方向転換出来やすい方が良いと
わたしは思います。
 一般に主体の比率が違うだけで、順算と逆算の併用が通常の作り方なので、この方法の
作図は手筋作の作者には参考になるのでは無いかと思います。

戻る
 
トップに戻る