「風花の舞」はじめに
 
 条件作作品集の、第10集「風花の舞」です。連続した条件作集(舞シリーズ)もこの第10集で中断または完結としたいと思います。
 本集のコンセプトは、繰り返しまたは規則性を含む手筋作品集です。手筋が「風」ならば「花」が規則性でしょうか。風花とは、たんぽぽ等の綿毛の事でもあります。手筋と規則性の融合を目指しても、全体には軽い作品になります、丁度綿毛のように。榊原姿保美の同名の小説の様な幻想味は目指してはいません。
 華やかな中長編の繰り返し手順は素晴らしい思うと共に、短編にも持ち込めないかとかなり以前から考えていました。しかし、規則性を増すほど手順は弱くなり、どうしてもあいいれない部分があります。
 上田吉一氏は作品集「極光」の中の作品「変拍子」解説で「趣向手順を不規則に構成してみようと試みた作品。」と述べています。私自身が発表時に感じたのも、不規則性や破調を含む事で、感触としての規則性やイメージで止まっても良いのではないかと言うことです。最近発行の「極光21」でより詳しい分析がされています。
 現実には、手筋と規則性のバランスは非常に取り難く、絶えずどちらかに傾きがちです。しかも、手数が中編領域に伸びがちです。あくまでもイメージのみがテーマの条件ですので明確な定義は行わずに自由に作りあげました。第9集と第10集の時間的間隔が短い理由も第10集の準備が70%は終わっていた事にあります。
 連作集の末尾を飾るには変則的なテーマですが、それゆえに連続作品集が何集になっても最後はこのテーマと早い段階で決めていました。
 これまでの作品集は、条件順または手数順の配列を行って来ました。本集では配置駒数で配列を行っています。何故かは単なるイメージとしか理由はありません。
 本集の作図期間はかなり以前からの積み重ねで、複数の人の協力とアドバイスがあります。また、二次検討には、柿木6と脊尾詰2(励棋PRO10)を使用しています。それぞれの方に感謝します。
 
             田原 宏


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