「不成の舞」はじめに
 
 条件作と言えば現在では手順は含めない事が多いようです。手順は、手筋と呼ぶ事が
普通です。従って、手順条件作と言ってもピンとこない人が多いと思います。私に
とっては、通常の条件作も、手筋作も作り方に差がないこともあり、手順条件作も
有って良いと思っています。本作品集は、手順条件作の「不成百番」です。不成手筋百番
と呼んでいただいてもさしつかえは有りません。
 私は不成と遠打ちが手順では詰将棋の華だと思っています。一つは合駒きらいが
理由かも知れません。初入選も不成作で、現在まで創作の中心です。
 百と言う数字は、印象的に重みを感じる物で、99でも150でもない特徴が感じます。
古くから「将棋精妙」を不成百番と呼ぶ人が多いですが、実は2局の逃れ図があり、
詰将棋は98局です。「魔法陣」は81局です。本作品集を作りはじめた時は、
初めての百局と短編作品集による不成密度の向上を特徴に考えていました。しかし、
3つ目の不成作品集「詰の花束」は、ほぼ同一の内容でした。
 そのために新たに特徴をもたせるべく、再構想が必要になりました。そのため第1集
予定の本集が第3集に遅くなりました。再構想の結論は後半部の連作にあります。
良し悪しは別にして、後半部の存在は手順条件作のイメージが少しは生じるのでは
ないかと思います。自陣成駒の配置や、駒数の多さなど、手数の短縮を最優先にした
ために犠牲をはらっている無理作りが有ります。10代に戻った感じもします。
 別に傑作集のみが作品集ではなく、個人が好きな分野で個性をだして作品集を作るのは
別の意味があると思います。
 未発表作の検討等は、名古屋香龍会の人と、「励棋」「脊尾詰」の助けによります。
その他多くの人の協力に感謝いたします。
 

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