元技術者日記「公差表示方法は実用的に」
技術者・特に設計者は図面と仕様書で仕事をします。
図面には設計寸法が記載されています。具体的には、設定値と公差です。
初心者や作業者には、公差を含めた下限と上限の中間値を設定値にする様に通常は指示します。
顧客作製図面も多くの場合は、公差はプラスマイナスが同じ数値で書かれています。
しかし、プラスマイナスが同じでない公差も存在します。それには実用上の重要な意味が含まれる事が多いです。
設計技術者は、そこに含まれる意味を理解して設計出来るようになって漸くプロと言えるでしょう。
例えば、板のサイズの公差は「プラスp/マイナス0」が普通です。マイナスという事は小さすぎる場合もあると言うことで 使用上は問題です。
プラス公差は、使用する装置や治工具のサイズが適当かどうかの確認に必要です。公差のより重要な方を判るような設定は 設計思想を示して有効です。(2009/09/04)
元技術者日記「規格認定は有償」
仕様に、「XX規格認定品」と書かれている事があります。
これは早い段階で可否を明確にしておく必要があります。
部品レベルでは、規格外でも最終製品で規格に通れば良いだろうという勝手な見通しで進めてしまう事は避ける必要があります。
仕様書は建前と都合よく思い込むと、大きなトラブルに繋がります。
認証ロゴを入れるかどうかの違い程度に思っている者も多いです。営業に特に多いです。
認定規格は多くの時間と費用が必要です。そして合格後も、メンテナンスが必要です。
競合がある製品で、規格認証品を高価に設定できる事は少ないですが、正確な経費の見積もりはそのようになります。
規格認定品を、自社の標準仕様とする事は一つの戦略ですが、これがコスト意識の希薄化になっては逆効果です。 (2009/09/14)
元技術者日記「PL法の知識」
大きな会社では、専門の部門を置いている所もありますが、少なくても製造関係の受注に関わる者はいくつかの法的な知識が必要です。
その一つが「PL法」(製造物責任法)です。
「製造者の過失を要件とせず、製造物に欠陥があったことを要件とする」という法律の解釈の「製造物に欠陥」の部分の証明が不要になった事です。
このことは製造者にとっては、厳しい事です。
その結果、マニュアル等に多数の注意事項が書かれる事になりました。使用方法の禁止事項を無視する行為は利用者の過失になるからです。
まあ、通常は一般常識で判断出来る内容だったのですが、利用者の一部に信じがたい使い方をする人が増えて、それがどちらの責任かに発展 したのです。
なお、製造物の本来の目的・機能によって発生する事は除外対象となります。
例えば包丁で料理をする時に、誤って手を切っても包丁の欠陥ではありません。切るという機能は包丁の本来の機能だからです。 (2009/09/24)