顧客クレームの種類
一般には、「クレーム」は不良品のイメージを持つ人が多いと思います。 しかし、不良とは何かと考えれば、顧客にとって不都合な事全てと言えます。 製品・部品にとっては、図面・仕様書どおりにできあがっておれば、不良品ではありません。 しかし、それが顧客にとって不都合はないかどうかは別問題です。 また、顧客の意味する実内容も問題になります。 品質クレームを含めて、全ての顧客からのクレームが対象です。
実例1:量産試作品・移行品のクレーム例
量産試作は、はじめて行う量産ツールを使用した量産生産作業です。
これには、製品単品の設計・製造工程の設計・材料その他あらゆる要素が入ってきます。
あらゆる設計ミスが表面化するのもこの工程ですし、製造も初回生産ですから全く慣れもノウハウもありません。
具体的には、ツールのメンテナンスや検査標準書の整備不十分などが該当します。
ツールには、いわゆる「ポカよけ」を設けるのが現在の設計標準ですが、初回では抜けている事もあります。製品は製造出来るが不良品発生のポテンシャルが高いです。
実は初回生産は、製品設計を理解出来る担当者が関わる場合が多いため、ちょっとした不良ポテンシャルを見逃し易いです。
量産試作品・移行品が完成すれば問題は出尽くす訳でないのがこの理由です。一応の区切りと考えています。(2010/09/09)
実例2:顧客都合のクレーム例
新製品は、製造のみならず、顧客にもはじめてが普通です。
製品の供給側も、需要側も試作担当がいることが普通です。
また、本当の意味での量産とは異なる事があります。
従って、量産ではじめて判る不具合もかなり多いです。
その頻度は、供給側も需要側も同じですが、需要側の不具合でも供給側でしか対策出来ない事も多くあります。
取引上は不良ではありませんが、部品を使用する上のクレームとなります。
費用負担や、対策前品の処理等の問題もありますが、設計・技術上の問題は設計変更という形で対応します。(2010/10/09)
実例3:長期未生産品のクレーム例
長期未生産品とは、部品メーカーではメンテナンス部品と呼ぶものです。
現実に、製造現場では量産当時の状況を知っている・経験している人が少なくなっています。
また、業界環境的に材料が入手出来ない時や、代替え品に変わっている事が多いです。
そして実は最大の問題は、顧客側にも量産時の詳細を知っている人がほとんどいない事です。
生産条件の変更や今後の対応を含めて、多数の打ち合わせが有ります。
量的にもコスト的にも、簡素に対応したいのですが、状況は全く逆です。
いわゆる、アフターサービスというものが難しいのはこれらが理由です。(2010/11/08)
実例4:顧客内部移管に伴うクレーム例
顧客も新製品は、担当部署で生産して、安定してから量産工場へ移管する事は多くあります。
最近は、はじめから並行生産や、全品移管も普通に行われています。
特に量産移管先が、海外という事は珍しくは有りません。
その移管方法やその後の対応は、個々の顧客で異なります。
移管先が主導権があれば、以降はそことの取引・技術対応となります。
顧客によっては、2カ所ともに管理している事があります。実務と研究・技術的に分かれますが困った事も多いです。
責任部署が分かれる程に、ものごとは決まりにくいし、最悪は部署間の連携が悪い。
出来るだけ顧客の内部の問題に関わらない事が無難です。技術・製品以外のクレームには対処出来ないし、する必要もないでしょう。(2010/12/09)
実例4:顧客外注化に伴う例
顧客事情で、生産場所が変わる時や外注化する事も多くあります。
国内で量産試作して、安定してから海外生産移行も普通になりました。
その移行が、スムーズに行える顧客とそうでない顧客があります。
後者でも、受注をスムーズに行うためには、非移行側の情報不足によるクレームは責任の有無によらず対応が必要です。
ただし、移行元からの正式な依頼がなければ情報の提供は制限されます。
あくまでも、非移行側から情報発信に対して、速やかに応じる形が必要です。
最悪は、移行元に承認を求める事が必要になります。
とにかく、極度に立ち入り移行先での導入トラブルに責任を持たされないレベルでの対応が必要です。(2012/06/02)