元技術者日記「試作資材調達」
量産受注の前に、見積もり・試作を行うのは極めて正常な事です。
それが、相見積もり=複数の所で見積もりをとりレベルを見るや、比較試作の参考側でも何か有効な情報の入手や、将来の機会を 得る事につなげたいものです。
上記を含めて、常備していない材料を使用する物件はどうしても存在します。
その場合の対応方法は、一応マニュアル化されていますが、どこかで対応ミスか戦略的扱いはあります。
見積もりの対応ミスの場合の試作依頼の扱いは、かなり面倒です。
特に取引のある顧客や、戦略分野の製品の場合は試作段階で、材料の手配可能性を調べてそれも受注の方向で進める事が必要です。
見積もりと異なるのは、納期的に制約が大きい事が普通です。
見積もりは、担当的には納期は厳しいですが、全てを含めて未解答の選択もあります。
試作以上になりますと、その前の作業をリセットする事にもなりますし、社内の作業の不手際を顧客に知らせる事にもなります。
従って、採算性のある材料調達に動く事になりますが、試作の準備から生産開始は同時進行でないと納期に間に合わないです。
いわゆる見込み発車状態ですが、窓口はこれの対応・・資材等との連絡をも仕事のひとつです。(2010/09/09)
元技術者日記「UL規格」
国際規格でも公的規格でもない規格、民間規格が大きな力を持っている事があります。
「UL規格」は難燃性に関するアメリカの民間規格ですが、国際的に大きな力を持っています。
そして、これを取得するには多くの時間・試験結果等を必要とします。
その詳細は、複雑ですが、最終製品でもこの規格を申請する場合には、個々の部品がこの規格を取得している事が作業が容易になります。
また、不定期の予告なしの立ち入り検査があります。
メーカーとしては、材料技術や製品構成等が判ってしまうので、突然の立ち入り検査は嫌いますが、取得と維持の条件になります。
当然の事ながら、取得・維持にはかなりの費用が必要です。
通常は製品価格に含まれるのですが、製品によっては競合も取得しており、価格に反映が難しいものも多いです。
規格取得品には、それを示すロゴ・マークを入れる事が顧客から要求があれば必要です。
量産材料で、銘柄自体で規格が判る場合はロゴが入っていなくても判別出来ます。
UL規格の知識もひとつの大きなノウハウになるとされるほどに、複雑です。(2010/09/19)
元技術者日記「実体公差」
機械図面には、寸法は公差と共に記入されています。
手として「嵌め合い」部分を中心に、「実体公差」が使用されます。
日本工業規格にもありますが、あまり利用されていないし知らない人も多いです。
しかし海外特にアメリカの技術が書いた図面では、企業の方針にもよりますが多用されています。
意味は、実用的に嵌め合いが行われれば良いという意味で、中心寸法とその公差を総合的に規定します。
これの何が問題かと言うと、理解出来ない作業者がかなり存在する事と、日本とアメリカで規格が異なる事です。
実体公差の表現にも、種類がありますが、双方で数も記号も異なります。
アメリカ規格は、規格表を取り寄せる必要があります。
そして、社内製造部の検査・管理には、実体公差を守れる範囲で一般的な表現に変える事が普通です。
図面表記のままの方が正しいですが、製造作業が滞ってしまいます。
対顧客と、対製造部署との間の翻訳?橋渡し?も設計・窓口の仕事です。(2010/09/29)