古書にまつわる話3

瀬下耽 探偵小説選・出版

「瀬下 耽」は戦前から戦後に短編を発表した探偵小説作家です。変格派と言われます。

アンソロジーには、幾度か登場しますが単行本がありませんでした。珍しくはないですが・・・。

2009/12に始めて短編集が出版されました。70年ぐらいぶりでしょう。

1975年当時の雑誌「幻影城」から出版予告が「葛山二郎」との合本でされていましたが実現しませんでした。

「葛山二郎」は2000年頃に「探偵倶楽部」という叢書の一冊で始めて単行本が出ました。

それから遅れましたが「瀬下耽」の短編集が単行本で出版された事は喜ばしいです。まだまだこの様な作者は多いですが 単行本化はされるのでしょうか。(2009/12/19)

著作権継承者探し

著作権は、作者の没後50年存続します。勿論、継承者によってです。

最近、復刊される本では「著作権者に連絡がとれません。御存じのかたは連絡をお願いします」等が多いです。

印税が殆ど無いに等しい場合は、著作権の継承はあいまいになってしまう様に思えます。

管理団体に届けるなり最後の出版社に、継承者を通知するなりする必要がありますが、意味なしの判断でしょう。

「現在では差別用語が含まれますが、資料性と作者の没後のため原文のままです。」も多いフレーズです。

確かに時代性や資料性のみならず、差別用語も時代と共に変わるので修正は困難でしょう。特に著作権継承者の許可さえ確認 出来ない場合は・・。(2010/02/06)

誤植本

本の内容の敵は「誤植」「落丁」等です。

しかし中には、「誤植本」蒐集家がいます。

全てに共通の間違いが普通ですが、たまたま少数部にみのエラー本もあります。

まるで切手のエラーが貴重扱いされる様に扱う人もいます。

ただ市場がないせいか、価値とか資料性とかは不明です。

笑ってすませる・貴重扱いする内は良いですが、本の種類によっては重大な欠陥にもなりえます。(2010/04/03)

何故に図書館の本は傷むのか

本は図書館で借りて読む人は多いでしょう。ただ私はあまり好みません。

理由は、かなりの痛み古書本よりも、もっとひどい痛みがあるからです。

ページの破れや紛失等の重大な欠陥も珍しくありません。

借りた本を傷める性格の人がかなり存在するとしか思えません。

他人のものと思っているのか、読んだ後はどうでも良いのか、丁寧に読む人は自分で購入するのか。

とにかく本というものに対する考えや扱いほど、人によって大きく変わるものは少ないかも知れません。(2010/05/01)

ビデオ対写真集

沢山出されたビデオでDVD化されるのは極一部です。

まるで消耗品扱いです。同様に写真集も似たような扱いで復刊は少数です。

前者は古書とは言いませんが、同じようなものになります。

ただ、情報の劣化という意味ではビデオが激しく、紙ベースの写真集の多くは劣化は少ないです。

紙や印刷のは色々あるので、寿命がどれも長くはありませんし、色の変質は避けられません。

それを加味しても紙ベースの多くが長く残りそうです。(2010/06/05)

オンデマンド対電子書籍

電子書籍は話題先行で、まだ本質は見えていません。

日本では、電子版ニュース誌が未普及ですから、まだ本質は先と感じます。

オンデマンド=注文生産も、少数です。

大量生産で成り立つ商業出版という図式がありますから。

そのために、古書の復刊という面で何が一番可能性があるのかはまだ見えていません。

本は骨董ではなく、日常品という私の見解も停滞しています。(2010/07/03)