古書にまつわる話7

初版本作家

少数のベストセラー作家と、その他の初版本作家がいると言われています。

販売数が少なくて、増刷がかからない作家です。

出版社は、少数のベストセラー作家に集まりますが、その作家は書くのだけに忙しくなります。

一方で、初版本作家はそこそこの対応をされる人と、殆ど無視の人が出来て来ます。

通信の発達した現在は、地方在住でも不便は少なく、編集者と時々しか出会わない事になります。

一部を除いて、初版本作家の時期を経験しているベストセラー作家の方が多いでしょう。

あるいは、何かの新人賞で華々しくデビューして、後はしばらくして忘れられる。

自分で本を売るために、サイン会を開いたりファンとの集まりに出向いたりする人は今もいるようです。

サイン会に長い列が出来るのは、少数の出版社が企画したものでしょう。

ただ、特定の作家のファンはベストセラーになると、うれしい面とちょっと寂しい面とがあります。

ただ、その時の新しいファンと称する人の感想や知識は、長く読んでいる者には検討違いばかりです。(2012/02/05)

新古本

書籍は、原則は価格が一定です。

書店により、異なる事はありませんが、売れ残りというか出版後にある程度時間が経過すると、別扱いになる事があります。

それが、「新古本」であり、出版社が在庫を持つか安売りをして捌くかの判断によります。

未読ですので、経時変化・劣化は少しはありますが、基本は新本です。

区別する為に、わざと本の開き背に、マジックインクで色を付ける事もあります。

簡単に言えば、売れなかった本を、古書として価格を下げて販売する事です。

まだ一般的でなく、少数ですのでなかなか、購入したい本に出会いませんが、一応は対応店は注目です。

個人的に出会ったものでは、高価な復刻本や購入者数が限られる分野が多いです。(2012/03/04)

ツイッターが情報源

作家や愛好家が多くが、ツイッターに参加しています。

新刊情報・復刊情報・感想・その他各種情報が、多く流れてきます。

かなりの出版社や、書店や従業員も参加しています。

ツイッターは、相手を見つけてフォローする必要がありますが、ある程度集まると相当な情報量です。

定期的につぶやくには、本や作家関連情報は適当な対象とも言えます。

気になる情報は、「お気に入り」に入れておかないと、タイムラインはどんどん消えて行きます。

特定の人の発言や、グループ記号がついておればチェックしやすいですが、あまり期待しない事です。

最近は「大阪圭吉」の話題が多かったです。(2012/04/01)

非売品の流通

本にも非売品は存在します。

書店等で販売していないだけで、関係者やサークル等では入手は可能です。

具体的には、個人出版の一部、台本、サークルの会誌等が例です。

非売品が、資料的に重要かどうかは疑問ですが、レアである場合は多いです。

古書目録にも、非売品として掲載される事がありますが、おおむね流通価格がない事が多いです。

従って、価格の妥当性は基本的にありません。

言い値というか、購入側の価値観で決まります。

時々は、当時またはその後の著名人が書いている文が掲載している事もありますが、別のレア化が生まれる事もあります。(2012/05/06)

翻案小説と原作

翻案小説というのは、昔に海外作品を翻訳ではなく日本等を舞台に作り変えた作品です。

著作権の問題が整備されてきた現在では、ほとんど見かけません。

そもそも、翻案かどうかが明らかで無いことや、原作の有無が判らない事も多いからです。

単純に面白いかどうかだけならば、翻訳より面白い事もあるだろうと思います。

翻案小説として伝わっているものの、原作が判らない場合にそれを探す研究もあります。

海外も時代とともに、作家や読まれる本が変わるので見つける事は難しいのです。

そもそも、原作が判る事にどのような価値があるのか自体が理解は難しいです。

大衆文学に於いて、アカデミックな研究の意味を考える事自体が難しいのでしょう。(2012/06/03)