古書日記(2008/10)

古書日記『高木彬光:成吉思汗の秘密』

高木彬光は歴史に題材を取り、かつ名探偵・神津恭介が安楽椅子探偵で謎を解く作品が3つあります。それぞれにスタイルと 書かれた動機が異なります。

「成吉思汗の秘密」は青森出身の高木の父が、深い興味をもっていた題材です。義経の北行伝説は各地に残されていますが、 それを題材にした作品も複数あります。そして、どこまで行ったかはそれぞれ異なります。

本書は題名から予想できる推理の展開が見物です。しかしこの作品は推理がポイントで結論は隠す必要はない。

所で本書は初出では、最終章がない。次のノベルス版の時に仁科東子説を一部取り入れた最終章が追加された。

初出版は、特別と考えるかどうか微妙です。(2008/10/04)

古書日記『かきおろし未完結全集』

全集・叢書は未完結が多い事は、歴史的に周知の事実です。とくに多いのは「かきおろし」全集です。この場合の全集は、最初に 公表された予定の全体を指します。

この場合は、まだ作品が完成していない予定が、実際に出版されたかどうかです。出版予定が公表されていない場合は、完結かど うかは最終号の記述がなければ分かりません。

予定は未定ですので、予定作家の誰かが書けない場合が結構起きています。

これは古書に限らず、現在でも同様です。従ってかきおろしの場合は明確な予定を公表しない場合が増えていると感じます。

途中から編集方針が変更になった場合も同様に扱う事が多いです。全集・叢書の全巻蒐集を行う人はいつの時代も存在しますが 出版されたかどうかが不明だったり、全部で何冊がでたのかの情報が不確かな場合はマニアを悩ませます。最後の1冊が見つからない ケースは度々です。(2008/10/11)

古書日記『古書のあとがき』

文庫を主体に「あとがき」「解説」等が末尾にある本は多いです。それは発行時に書かれたもので時代性を考慮して読む必要が あります。最近の再刊・復刊本は、「初版時のあとがき」「再刊時のあとがき」などと複数あることが多いです。

作者情報や、作品の評価や背景等は時代と共に変わります。また重大な錯誤が、あとがき執筆者のミスや当時の情報の双方から 発生する事があります。

「初版時のあとがき」は解説ではなく、時代性を考慮した資料と考えるべきでしょう。

特に江戸川乱歩をはじめに、あとがき・ルービック等が重要視される場合も多くあります。このルービックがある作品(短編) を集めたアンソロジーがいくつか出版されています。

色々なジャンルや評価や情報の移り変わりを知る事や、特定の人物の書誌のひとつとして「あとがき」等が意味を持つ場合も 多いのです。(2008/10/18)

古書日記『カタログの抽選』

ネットショップの増加で、古書カタログの発行は減少しました。しかし、まだいくつかは残っています。総合カタログと 特定ジャンルの専門カタログがあります。

カタログが届いて、購入したい本があれば注文をします。注文方法は、葉書かファックスが普通で指定されています。 電話は注文が履歴が残らないので不可です。

注文はどうなるかと言えば、・早い者順、・一定期日後に抽選 のどちらかです。後者のほうが多いと思います。

注文するときに、なんとなく分かるのですね・・・。抽選になりそうかどうかが。定期的にカタログを発行している場合は 前回には掲載されていない本は、抽選になりやすいです。そして、欲しい本はそれに該当しやすいです。

結果は発送に変えて・・という事で、送られて来た本の価格を送付(振り込み)して終了です。抽選はずれ本は、市場に 希に存在する事と価格の確認は出来て次の機会待ちになります。(2008/10/25)