古書日記(2008/12)

古書日記『古書価は誰が決める?』

オークションでは購入者が価格を入札しますが、間違いやすいのは2名が競れば価格は高くなる事です。

落札価格が相場という事はありません。ただし、多くの人が情報として認識するので、繰り返されるといつしか相場になる可能性 はあります。ただし、なにも保証はありません。

ネット販売が盛んになる前は、古書店が価格を決めてそれで購入するかどうかを決めるのが通常でした。

そこには経験や、色々な情報に基づくノウハウがあります。ただし人間ですので、個人の思い入れもはいる事は避けられません。

古書店は、プロの時代はネットが盛んになり、妖しくなってきました。アマチュアでもオークションを利用すれば可能になりました。 値付けが出来ない事は隠せる時代です。逆に購入側は雑音に踊らせられない注意が必要です。(2008/12/06)

古書日記『誤植・落丁』

本には、間違いは沢山あります。作者の思い違いや間違いや調査不足は人間が書くのだから避けらる事はありません。

もう一つ多いのが、誤植と落丁です。落丁は不良本なので返品対象ですが、古書の場合は微妙です。変わりは有りませんから。

誤植というのは出版技術の問題です。作者の校正能力の問題も含まれているとも思いますが、昔の事は聞く機会がないので分かり ません。

古書に限らず間違いや誤植は初版には多いです。それが再版や改訂を繰り返す内に修正されて行きます。しかし、古書の場合は おおむね初版が主です。初版が価値があるとかではなく、増刷も再版もされていない本が沢山あるのです。

古書で流通する本の多くは、絶版で再版もされていないものが主です。それは同時に、内容に色々の間違いや事故本を含む事を 意味します。それをいっちゃーおしまいよです。修正・改訂の機会が与えられ無かったのですから。(2008/12/13)

古書日記『貸本上がり』

現在では図書館が普及しています。昔は貸本屋が多い時代もありました。

図書館で本を借りた経験の有る方は分かると思いますが、痛み防止に色々と補強している場合があります。同時に管理用に色々 なスタンプ等が貼られています。

昔の貸本も同様だった様です。古書には「貸本上がり」がかなりあります。まずは痛みが激しいです。次にカバーや帯や箱や 投げ込み月報等はありません。

そしてモラルの問題ですが、取り扱いが悪く故意に痛めたり書きこんだりが目立ちます。当然に古書価は著しく低下します。 もし捜している人が古書自体であれば、対象外です。逆にテキストを捜している人は少しあるいはかなり我慢をすれば読む事が 出来ます。

私は後者ですので、安価な貸本上がり本は狙い目です。ただしネットの様に具体的に内容を見れない場合は、価格が想定しにくく しばしば予想以上の痛みで失望を味わいます。(2008/12/20)

古書日記『限定版』

現在の出版は大量生産です。しかし時々、少数の限定出版も行われます。

限定出版は、高価になる豪華版が殆どですが、購入意識をうながす目的で「通し番号」が付けられる事が多いです。

小さな通し番号は一般向けに市場にでないのが普通ですが、限定版を購入するのは大抵マニアですから「通し番号」にかなり 拘りがあります。

そしてそれは、その本が古書になっても残ります。限定版のうたい文句・「通し番号」付き・そして時々番号自体にプレミア がつく場合があります。

ただ、このプレミアは評価に差が大きくなる傾向があります。古書として購入する場合は、思い入れも大事ですがいわゆる ふっかけ価格に合わない注意も必要です。(2008/12/27)