古書日記(2009/05)

古書日記『古書カタログの見方』

古書カタログは希望者か、それ以前の購入者にはたいてい送られてきます。

まず見るのは、「先着順」か「抽選」かの確認です。「抽選」の場合は抽選日に間に合うように注意が必要です。

「先着順」の場合は、ファックスの可否のチェックも必要です。

「先着順」の場合は探求書を優先的に探す事になります。多少抜けの可能性があっても、早く探す必要があります。

ただこれは、カタログ郵送時間の差が大きく、地域差があり最近は少ないようです。あえて言えば、古書価設定が高い目のカタログ で見かけるように思います。抽選ほどに希望者が集まらない時でしょう。

通常に多い「抽選」の時は、注文書を送る期日から逆算して探します。この時は、栞かメモで候補書を見つけたら次々チェックします。

欲しい本が全く無いときもありますし、探求本が見つかる場合もあります。しかし多くは、入手希望と価格の比較で最終的に調整 する事が多いです。

その事を前提にして、メモを取りながら探して行きます。(2009/05/02)

古書日記『あれば便利な書誌ですが・・』

作家別の書誌・雑誌の書誌等を時々見かけますが、少し前までは少数の作家以外は不十分です。

最近は、作家自らがウエブサイト等で管理している場合があります。

まあ、乱歩・正史というビッグネームでさえ、完全な書誌がないのが実状ですから完全を求める事は無理でしょう。

しかし一般のマニアに必要なレベルの書誌まがいは、複数の本やネット情報をあつめて編集すると出来ます。

これの有無は、古書を探す時には重要になります。

本では、改題がしばしば行われます。また、短編集の再編集という事も度々です。読書を目的にするテキスト派には、ダブり本 を避けるために苦労しますが、書誌はその助けになります。

研究家の解説にはしばしばそれが掲載されている事があり、既読本でも書誌を目的の購入もあります。

書き下ろし以外は、雑誌初出と単行本初出の双方があります。(2009/05/09)

古書日記『古書の保存状態は写真では判断困難』

古書マニアの古書店巡りは、マニア度のチェックポイントです。

カタログ通販・ネット通販・オークションが広まると、たしかに効率は上がります。

ただし、最悪は文章のみ、良くて写真での判断になる点で実物を見ないでの購入はリスクがつきものです。経験的に見て歴史のある 古書店のカタログの「難有り」「痛み」等の表示はかなり信用がおけます。

逆に古書を知らない人のオークションでの出品は、保存状態の記述が甘い場合が多いです。そもそも、古書の経時変化をほとんど 見た事のない人や、非常に保存状態の良い古書を見たことのない人の判断は甘くなります。

保存状態の現品以外での判断は、一部のノウハウとかなりの経験と同様の運で決まるでしょう。

同じ事は購入者側にも言えます。古書には「痛み」「経時変化」がある事を知らない人が参加すると、不要のトラブルになります。

保存状態で古書価は変わりますが、これを含めた古書価相場は存在しないに近いです。

古書と呼ばれる程のレア本は数が少なく、同じ状態がほとんどないと言えるからです。(2009/05/16)

古書日記『複数巻揃いは重要』

複数巻で1冊の本は多数あります。古書とくにレア本では、入手機会を考えるとバラで購入する事はリスクが高いです。

勿論、部分的にも保有したい場合や該当巻のみを探している場合は別です。

新刊本ならば、揃っていなくても直ぐに揃える事は可能ですが、レア本となるとたとえ1冊不揃いとしても、それを入手するのは 困難です。

個人的な経験でも、2巻揃いでも揃わない事は多く、ましてや全集や雑誌等の揃いは貴重品で個別蒐集は不可能に近いです。

そこでいわゆる「ききめ本」が生まれます。ある作家・全集・叢書等を揃える時に、見つかり難く最後に残る本の事です。

とにかく複数巻の場合は、全てが同等にレアな事は少なく、特に入手困難品があります。

従って、複数冊の揃い本は貴重です。古書店では、バラ売りはしていない場合も多いです。1冊欠けると値打ちが大きく下がります。

ただ複数巻の具体的な冊数が不明な場合がかなりあります。これは厄介です。(2009/05/23)

古書日記『ブックオフ・スタイル』

古本店としての「ブックオフ」の登場は、「古書」には影響は少ないですが、「古本」市場には大きな影響がありました。

新刊と違って価格が存在しない、売り手の情報力と知識で決める販売方法は伝統的でした。

これを破壊したのが「ネット・オークション」と「ブックオフ・スタイル」です。

前者は、価格を購入者が決めるというスタイルです。

これとも異なるのが本の価値を定価と、本の外観と在庫期間で決める「ブックオフ・スタイル」です。どちらも本の価値ではないので 情報力も知識も不要です。

外観のレベル付けをして、それぞれに定価の何%という価格設定をします。この場合は価格が高い古書が紛れ込むと安く設定するリスク はありますが無視します。

同じ外観レベルで仕入れ時期の本を同じ棚で販売します。そこで一定の期間で売れ残ると次第に価格の安い棚に移動させてゆきます。

他人の決めた価格を参考にする、購入者が価格を決めるというオークションよりもシンプルな方式です。

特に価格的にマッチするのは購入後読んで直ぐに古本販売した場合です。時間が経過する程に価格設定の精度は低下します。(2009/05/30)