古書日記(2009/06)

古書日記『無店舗古書店』

ネット時代のスタイルとして「無店舗古書店」があります。

街の小さな古書店に、ふらっと立ち寄って掘り出し物を探す醍醐味はもはやありません。

書店内、古書店グループ内、オークション内の検索機能がほとんど設置されており、探求本の多くの在庫が容易に探せます。

厳密には、検索にはある程度の技術ノウハウと知識と経験が必要ですが、原則はそうです。

オークションのアラーム機能を使用すると、キーワード一致品の連絡まであります。ただし、多くの人が同じサービスにありますので 競争原理はより強く働きます。

競争の激しくない探求本を探す時は、極めて有効です。結果的に流行というか、特定の本が高価になる不思議な現象が起きています。

無店舗と言っても、倉庫・書庫はありますし、その一部は事前了承があれば見せてもらえます。どうしてもと言う人は一度連絡する 事も考えてはどうでしょうか。(2009/06/06)

古書日記『専門古書店』

数え切れない本の全てを扱う事は、業者には難しいし固定顧客も付きにくいです。

いわゆる古書マニアにはジャンルを問わぬ人もいますが、流石に時間つぶしになってしまいます。

いわゆる掘り出しものが見つかるのは、非専門古書店でしか期待出来ないので、時間がかかってもというマニアがいなくなる事は ないのでしょうが。

厳密なジャンルは無くても、次第に取り扱う本のジャンルの専門化は起きてきます。

専門店は、古書の蒐集が勝負ですが、古書店のみ参加の市で一括取引の中に1冊でも掘り出しものを見つけるとまとめ購入して、 残りは易く転売します。

入手した本は、その分だけ高価になります。専門店の古書価が高いのは、自然でしょう。

もうひとつは、「せどり」です。自ら探して歩く、色々な相手と連絡しあって探求本を手に入れる努力をします。これも古書価は 高くなります。(2009/06/13)

古書日記『単行本古書価と文庫新刊』

不況で文庫化も停滞していますが、多くの場合は単行本出版後の3−4年後が文庫化の目安です。

この時期に文庫化されない場合は、文庫化の可能性がかなり減少します。理由が売れそうもない場合も、まだ単行本が売れている 場合も含めてです。

この時期は、単行本の古書が出回っています。これと、文庫の新刊が同時に存在する時期です。昔は文庫は安価というイメージが 強いでした。

現在は、出版社で大きく異なりかつページ数の多い単行本の場合は、文庫では複数冊に別れますので、文庫新刊の価格は必ずしも 安価とは言えません。

古書はあくまでも、状態が保証されませんが同じくらいの価格設定になる事が多いです。その場合はどちらをえらぶでしょう。

テキスト派は文庫新刊が多いでしょう。初出派は単行本の古書かもしれません。

でも保管場所がないと、それが優先するかもしれません。ただ複数巻の文庫は必ずしも保管に有利とはいえないです。(2009/06/20)

古書日記『増刷の謎』

初版本のマニアがいます。古書目録には「初版」の表記があります。

初版の値打ちがいかほどか分かりませんが、古書で増刷を入手する事は初版よりも難しいと感じます。

増刷がかなりある本で、初版から2刷・・・と順番に入手を試みましたが、直ぐに挫折しました。探す方法がないのです。

一説によれば、途中の刷り数を飛ばしている場合もあるのではないかとの憶測もあります。

稀に昔に初版がないという場合が報告されています。確かめようもありませんが・・・。

中途半端な増刷よりも、版を重ねた印象は大きいかもしれません。また増刷が少ない部数で行われているならば、古書も流通しない 可能性もあります。

とにかく出版社が記入する版数ですので、確かめるには謎が多いです。(2009/06/27)