古書日記(2009/07)

古書日記『手書き原稿の価値』

古書目録に「手書き原稿」「手書き葉書」等が出品される事があります。

著者サイン本以上に、貴重なのが普通ですので当然に高価です。

特にマニア向けなのが、有名作品の手書き原稿です。

ところが、現在はワープロ・パソコン等が全盛時代です。ほとんどの作家が使用していると思われます。

作家の保存用媒体はオリジナル・テキストでしょうが、「手書き原稿」並みのものかと言うと違うと感じます。プリンタで打ち出して 朱書きで校正したものは付加価値はあると思いますが、少しイメージがわきません。

現在でも、修正困難な緊張感を持たせるために手書きする作者もいるようですが、一部です。

「手書き原稿」の価値は、今後値付け困難になる可能性があります。(2009/07/04)

古書日記『絵本人気』

古書の中でも、少年少女向けの本・絵本は人気があります。

文字のみの小説はテキストのみの復刊がかなり行われていますが、絵本は復刊がほとんど行われていないからです。

絵本は、文章と絵と装丁という製作作業が複雑な事と、著作権が複数に及ぶ事がテキストのみと異なります。

挿絵作家として、製作時から著名な画家を起用した場合も、起用時は無名でもその後に有名になった人もいます。

とにかく、復刊が難しい本であることと価格的に高価になり、大きな需要が期待しにくい事が重なります。

まさしく、本の本体自体が探求されているのです。同時に保存状態がより厳しくなります。

保存状態の良い絵本古書は、貴重といえます。(2009/07/11)

古書日記『改稿履歴の混乱』

再刊時に、手を入れる作者が増えているようです。勿論、誤植や内容の間違いは修正の必要があります。

ただ微妙な表現の書き換えは、ともすれば作品の改稿履歴を混乱に導きます。特に、出版社が変わる時は改稿履歴が、曖昧に なる事があります。

出版社にも、改稿最新版を重視する所と初稿版を重視する所があり、一般の読者には迷惑になります。

復刊で混乱しますから、復刊の多い作者は古書になるともう何がなにやら不明になる事も多いです。

復刊のされない本は、作者と連絡不明でかつ内容に疑問点ありの状態での出版になります。

改稿履歴が混乱しない条件は、かなり狭いことになります。そして多くの読者は、細部は気にせずに読みます。

そしてケアレスミスに対して不満を投げかけます。(2009/07/18)

古書日記『作品集の収録内容』

履歴で複雑なのが、作品集です。再刊・復刊で収録作品が変わる事がかなり多くあります。

1作品の履歴を追うこと自体も難しいのに、これが複数作品からなる作品集となると益々厄介です。

再刊時に、作品数自体が変わる事もしばしばあります。

収録作品自体が差し替えられる事もあります。そして部分的に題名が変わるときも、全体の作品集の題名が変わる事もあります。

そして一番困るのが、収録作品が削られて少なくなる事です。

色々なケースを羅列していますが、簡単に言えば、再刊とは言えない部分があることです。

マニアには、出る度にチェックして変わっておれば全て入手で全作品が集まる事になります。それ自体が厄介ですし、知らない 事も多いのです。(2009/07/25)