古書日記『投げ込み付録』
何にでも付録はあります。
書籍で多いのは、投げ込み付録です。
広告ちらしの需要は不明ですが、月報・推薦文・紹介文・等が該当します。
一部には、贈呈文・訂正情報文・作者関連イベント情報等もあります。
特に、叢書等につく月報は貴重な内容・著者が多く、古書でもこれの有無が非常に重要です。
ただ月報の有無は、情報が少なく、知らないとなくても完本と思いがちです。
古書を扱う難しさのひとつと言えます。情報がなければ価値が判断出来ないことは非常に多いのです。(2009/08/01)
古書日記『部分改訂・改稿』
文章は改稿を始めればきりがありません。
校正ミスや誤植も、ゼロにはなかなかなりません。
再版・重版・復刊される本は少数ですが、上記の間違いや改訂を部分的に加える事がかなりあります。
規模が大きい場合は、改訂・改稿を表面に出しますが部分的な場合は読者に知られる事がなく行われます。
一度読んだ本は、再版や復刊ではほとんど読まないという性格上、部分改訂は知られない事が多いです。
ただ部分的と言っても、かなり重要な部分が変わっている事があります。
そしてそれが分かるのはかなりあと、古書扱いになる頃が多いです。そして重版本は古書市場では逆に見つかり難いです。 (2009/08/08)
古書日記『著作権切れは復刊に影響するか』
著作権・作者死後50年ですが、ここでは変更論議はしません。
そもそも著作権が切れると、例えば復刊等に影響が出るかどうかの話です。
逆に言えば、著作権の有無で復刊が変わる作者や作品はどれくらいあるのかという事です。
日本では、石川啄木や宮沢賢治のイメージがある人がいるかもしれません。著作権消失後に有名になりました。
これは稀なケースで、復刊や読書数は著作権の有無にほとんど影響されないと思っています。
著作権料の差で、本を購入するかどうかを決める人は少数と思います。
まもなく橘外男が切れます。数年後に江戸川乱歩が切れます。でも影響は少ないと思います。 (2009/08/15)
古書日記『保存性はハードカバーか文庫か?』
古書とはいえ、保存・蒐集には場所が必要です。
テキスト派は、コンパクトな文庫サイズを好みます。
文庫落ちしてくる本では、改訂が行われている場合も多く内容的には文庫が決定版的な意味があります。
一方、資料的には雑誌や単行本が初出になるのが普通です。単行本の多くはハードカバーです。
古書を購入するときに気づきますが、本の傷みという面ではハードカバーが通常は状態は良好です。
紙質や本の機械的構造(主として表紙)を考えれば普通ともいえます。
一般に安価な文庫本は扱いが悪い場合が多いようです。 (2009/08/22)
古書日記『昔のカバーは「元パラ」』
古書の説明に「元パラ」という言葉が出て来ます。
昔の本には、現在のようにカバーがなく、その代わりに「パラフィン紙」を付けていました。
印刷のカバーとは異なり(カラーコピーのカバーを付けている人もいるようですが)、交換が可能なカバー紙です。
元パラというのは、購入時に出版社が付けていたパラフィン紙がカバーとして付いているという事です。
劣化状態や、他の元パラと比較すれば判るという人が多いです。個人的には拘らないほうなので判りません。
この紙は、光を部分的に通すので本の題名等が外から読めますし、光による焼け劣化も少なくします。
現在でも古書・新刊等の本マニアには、このカバーを使用する人がかなり存在します(含む筆者)。
ただし購入するときは、「硫酸紙」と呼ぶようです。「パラフィン紙」では通じないみたいです。 (2009/08/29)