古書日記『紙質』
「和紙」は保存に向いているとされています。
昭和20年代の一部・30年・40年代に多く使用された「酸性紙」は、時間の経過と共に変質してしまいます。
保存状態という言葉の意味が酸性紙では変わってしまいます。
通常のまともな保存でも、変質してしまうのですから、何で状態を決めれば良いのか悩みます。
「中性紙」になったのも、酸性紙の保存性の悪さゆえですが、今みれば遅いと思います。
戦前・戦後に「仙花紙」が使用されました。
薄くて印刷には向かない紙ですが、酸性紙に比べると変質は少ないです。
本の保存と紙質は密接な関係があります。
読み捨ての積もりで安価な紙を使うと、後に後悔する事になるでしょう。(2010/03/06)
古書日記『読書家と蒐集家』
古書マニアには、読書家と蒐集家がいます。
前者は、テキストを読む為に古書を探します。
後者は、稀覯本を探します。
古書が復刊されない理由は、基本的に売れないからで、内容がマニアックで需要が少ないからです。
翻訳では、訳が古いという理由もあります。
マニアックの細部にもよりますが、稀覯本・復刊されない本の多くはテキスト的に需要がない場合が多いです。
そしてその多くは、現在読んで面白くない本が多いです。
古書価の高騰している本は、面白い場合は逆に少ないと言えるでしょう。
ただ、一部が違う理由なのが読書家には悩みの種です。(2010/03/13)
古書日記『古書店の扱う商品』
古書店ならば、本と思いますが、それに限らないのは昔も今も同じです。
骨董はあまり扱いませんが、書画・色紙・絵はがき・新聞・手紙・葉書等は昔から扱う店はありました。
時代によって、レコード・CD・DVD・カセット・ビデオ等も対象商品になっています。
漫画専門・劇画やアニメアイテムは意外と最近ですが、古書店とは呼ばない場合もあります。
少なくても、新刊書書店で扱っているものよりも多くの種類を早くから扱っている事は、古書店にあてはまります。
特に古くから扱っているものは、古書店の仕入れ先の蔵書家が何かの理由で大量に手放す時に同時に処分したい商品とも言えます。
古書は、その仕入れが勝負ですのでその過程で集まる商品も扱う事になると思います。
新刊書店は、自然に本が並べられない程に廻って来るので、自主的に多商品展開して変わります。(2010/03/20)
古書日記『叢書の一括販売』
古書では、叢書の一括販売は多く見かけます。
新刊では一定期間ごとに複数本が発売されますので、全て発売後に一括販売が可能になります。
古書でも必然性はありませんが、叢書の揃いは一括販売が可能な場合は優先されます。
叢書は揃って購入したい人が多いですが、1冊欠本があると後でそれを補充する事はかなり難しいです。
従って、叢書の揃いの需要は若干の欠本があるときよりも、遙かに大きいのです。
古書店からすれば、一括入手できる事も個別に集める時もありますが、いずれにしても活かす販売を目指します。
逆に、蔵書を古書店に売りたい人は叢書の全揃いは付加価値があると考える事が出来ます。
叢書は月報や指し込みパンフレット等の付属品もあります。これらの有無も重要です。(2010/03/27)