古書日記(2016/04)

「古書における完本の定義は不透明」

古書には、美本や傷・汚れなどの他に、完本という表現がある。

新刊時の内容が揃っているという意味だが、決まった定義はない。

新刊でも、本体と言われるものが時代と共に変わる。

同時に、本体が完本でなく、付帯品も全てという意味が多い。

現在で言えば、カバーや帯や月報を含むが、投げ込み広告や紙栞は需要は曖昧だ。

帯は広告だから、新刊でも存在しない事は普通にあるし、度々変わる。

カバーも本来は本体の汚れ防止用だが、いつしか標準付属品扱いになった。

それ以前は、なしもあれば箱や通称セロハン(現在の呼び名は硫酸紙)=元セロだった。

現在は、高級品は箱入りで、それが運送用箱に入っていて、運送用には商品でないので痛みは非交換と書かれる。

本体以外は、商品の欠陥とは異なるのが公式認識だから、カバーや帯の有無や汚れは新刊本の欠陥でない。

ただし古書の完本には、欠陥のないそれらが含まれる意味が強い。

カバーや帯の何かの応募券を切っただけで、完本から外れる。

(2016/04/03)

「編集者校正」

本は著者だけでなく、編集者もチェックする。

編集者が表には出にくいが、出版されたテキストが編集者によって変えられている事は珍しくない。

誤字・脱字訂正という校正以外に、間違いと判断して訂正もある。

ただし、訂正の積もりが間違いを起こす事も珍しくないと言われる。

中間的な場合、間違いでもないが著者の意向と異なるというケースもありうる。

新版・復刊を行う時に、既存のテキストの多くにあたりチェックするのは上記のチェックだ。

増刷が多い本で、増刷途中に内容が変わって居るときは、絶えず見逃しの可能性はある。

また、旧かな使いや漢字を出版時の標準に変更する事は普通の出版方法だ。

ただし、その中に著者の複雑な意向が有るときは、見逃すと失われて伝わる事もある。

一番目立つのが、漢字の読み=ルピで、編集者が付けた場合が多いのだろうが、読み方がばらけて悩ます。

(2016/04/13)

「絵本・イラストの人気」

小説ではテキストの重視は原則だ。

雑誌や初出時には、表紙・装丁・イラスト挿絵等が付属する事が多い。

対象が少年・少女向けでは必需品だ。

当然ながら、絵やイラストもそれぞれの作者に著作権がある。

単純な増刷以外では、復刊時には絵やイラストの転載はかなり面倒だ。

特に版型が変わる時は難しいし、原画の有無と写真複製では異なるし、著作権も複雑だ。

そして、当時は若手や中堅だった作者がその後に著名になっている事も多い。

テキストの著者よりも、知名度が上がっている事も少なくない。

それらの本は、小説好きもイラスト好きも、双方に興味がある本好きにも好まれる。

それらが多い、少年・少女向け作品は流通量や、貴重性も含めレア化している。

図書館レベルでも簡単には、全てを見る機会は少ない。

(2016/04/23)