古書日記(2016/07)

「黒い本」

「黒い本」「白い本」と呼ぶことがある。

前者は漢字が多く、会話や行替えが少なく、活字が密集した本だ。

後者はその反対で、会話文が多く、下に隙間が多く、行替えも多い本だ。

ページ数が同じでも、文字数は非常に違う。

昔の本は、基本は前者でかつ活字が小さく、1ページの情報量が多かった。

読みやすいかどうかは別問題だが、ページ当たりの内容は濃い。

現代の流行は、「白い本」で活字が大きい事だ。

読みやすいと言うよりも、ページ当たりの内容が少ないので多数のページを読める。

それで年間何冊読んだかと言っても、目安になるかどうかは疑問だ。

作者の原稿料が原稿用紙の枚数換算ならが楽だ、ワードや字数ならば無関係だ。

昔は長い本が少ないと呼ばれるが、「黒い本」での長い本は書くのも読むのも覚悟がいる。

現代はワープロ執筆で、「白い本」ならば、ページ数が多くなる事は必然だ、大作かは不明だ。

(2016/07/02)

「新刊の古書転売」

新刊発売後に直ぐ購入し読んで、古書に売る人やオークションに出す人が増えた。

本はコンテンツと考えれば、ありえる選択だ。

勿論丁寧に読み、カバーや月報なども付属で扱う。

流石に直後の古書価格は、6−7割り程度だが、遅れて新刊購入予定者でコンテンツ派は選択肢となる。

出版社はうれしくないが、図書館よりは効率は良い。

ただし想像どうりに、一部の書籍だけであり誤差の範囲と言える。

最近は初出本が文庫等で再版される率が下がっている。

文庫落ち待ち、古書落ち待ちはかなりリスクになりつつある。

平凡な絶版本でも価格が高騰する事もある。

古書価は相場は安くとも、市場に出ない事は普通にある。

(2016/07/12)

「挿絵が注目される」

書籍には早くから挿絵が、付くことが多く有った。

コンテンツによっては、おまけだったかも知れないが、注目もされた。

ただし、著作権の問題もあり、雑誌・単行本・版の変更等で継続される事は少ない。

次第に、挿絵は減少傾向になるが、カバーとして復活する。

カバーは多岐に渡るが、イラストの占める比重は高いし、特にシリーズの統一に貢献する。

少年少女やジュブナイルと言われるジャンルでは、文章とイラストがペアとなる傾向が生まれた。

イラストを多く描く画家は結果的に、古書マニアに知られる事になる。

また、若い時代に副業的に書いていた作家も、後に話題になる事もある。

完全復刻がぼちぼち出されるが、挿絵も可能な限り復刻される。

漫画・劇画・イラスト・画家と同様に、現在では挿絵作家も大きく扱われる。

それもあるのか、本来は包装用のカバーが古書で必須扱いとなっている。

(2016/07/22)