古書日記(2017/06)

「復刊か再編集か」

書籍の復刊は、単純な復刊は希で編集を行う事が多い。

文字・活字や仮名遣いは、時代と共に変わるので読む行為からは変更が必要だ。

通常は復刊は修正を行う事が多く、増刷では何もしない。

企画としては、写真版での復刻や、あえて旧字体での復刻もある。

資料的な優先度か、あくまでもテキストを読む事を優先するかで異なる。

古書を購入する場合も、出版された時代でそれが変わる事は理解が必要だ。

作品集になると、作品単位で復刊とみるか、作品集として復刊と見る別れる。

概ね本は分厚くなる傾向があり、作品集は含まれる作品数は増加の傾向がある。

したがって、ページ数の少ない本で復刊するか、再編集で内容を変えるかに別れる。

2冊を1冊にしての復刊という判りやすい事は希だ。

複数冊の文庫を復刊する時は、概ね再編集のシリーズになる。

そこでは個々の作品で見ると、全く新しい作品集になる。

(2017/06/07)

「未完結作品」

単行本は完結しているか、完結を見越した連続の途中までが普通で常識だ。

完結予定は色々な事情で、予定外の状況で完結しない事は有りうる。

歴史的に残る未完結作品は、主に作者の病気や死去などの事情で中絶した事情がある。

ミステリージャンルでは特に、完結しないと真価がわからないと言うジャンルの事情がある。

特定の作者が人気があり、全てが出版されたときに、未完結作品も資料的に出版された事はある。

それが作者の死後直ぐというのは、多くはない筈だ。

最近に、色々な事情の中絶作品が出版された・出版予定だ。

連城三記彦の死後に、雑誌等の連載後に単行本に成っていなかった作品が出版された、作者の手直しがないのが残念だが意味は判った。

北森鴻の死後に10年前に連載されて中絶した作品が、中絶として出版された、鮎川哲也の中絶作品の出版予定だ。

病気で中絶された内田康夫の作品は中絶で出版されて、書き継ぎ部分が公募になった。

(2017/06/17)

「公募賞の受賞作なし」

2017年は、江戸川乱歩賞と横溝正史賞という、長編公募賞が受賞なしとなった。

受賞なしは一般には珍しくないが、乱歩賞と正史賞の最近の傾向からは珍しい。

直木賞にも言えるが、主催側の希望で受賞作を出したい意向がある。

受賞作も候補作も、その後の受賞作家の活動も選考結果では決まらない。

あえて言えば、作品が出版されないと以降に消えてしまう可能性はある。

最近の様に新人賞的なものがふえると、個々の賞の比重は下がる。

公募賞の候補作が、受賞を逃した後に出版された事はそこそこある。

そのいくつかは著名になり、残りは消えて行き古書でしか読めない。

それを探して古書で読み、当時の選考内容を見返る事もある。

希に、選考に異議あるが時代性と選考委員の考え方は変わるのだ。

(2017/06/27)