古書日記(2017/07)

「合本での出版」

書籍制作時は、ページ数の紙で外観見本を作るという。

実際の紙質での見本で、本の外観を確かめるのだ。

厚みが大きいまたはページ数が多い本が増えているのはその様な編集なのだろう。

初出時には一冊だった本を復刊時に、追加または2冊をまとめる事もある。

2冊の合本という編集は、全体を未読の人と部分的に未読の人が生まれる可能性がある。

後者の人に受け入れられるのかどうかがポイントだ。

分厚い本を受け入れやすい人と、苦手な人もいる。

実際の読書は、ページ数でも厚みでもないと思うがきっかけは影響する。

異様に分厚く、みるからに合本は目に付く。

重く熱い本は、持ち歩いて読む事は難しいので気楽に買い難い。

それでも出版のメリットはなにか、単価設定が上がる事だろうか。

書店で棚に並ぶ時には、背表紙は目立つしそれで選ぶ、目立つ厚さは必要な訳もある。

(2017/07/07)

「菊池寛の原稿発見」

未発表原稿は多数ある筈だが、探す事も公表も一部の著名作家だけだろう。

菊池寛の未発表の怪奇小説原稿が見つかったと報じられた。

知名度はあるが、どれほど読まれているのかは不明だがニュース価値はあるのか。

未発表原稿の作品価値と需要も不明だが、雑誌掲載との需要はあるかもしれない。

地位が確定した作者は、未発表作は評価は建前上は問わない。

もしも膨大な量が見つかれば引くかもしれないが、少ない量なら貴重扱いだ。

文芸関係の担当記者は、新聞の主要部に記事が載る機会が少ないと言う。

それ故に、肉筆原稿発見のニュースは少ないチャンスだという。

ニュースは、報道の仕方で大きさが決まる性格がある。

記者が自身の為に、ニュース性を高める性質がある。

(2017/07/17)

「鮎川哲也探偵小説選」

ほぼ全てに近い著書が読む事が出来る作家の、鮎川哲也の作品集が出版された。

唯一の文庫化されていない長編「白の恐怖」が収録されている。

そして、その作品を改稿していたが死で途絶えたとされていた、中絶長編「白樺荘事件」が収録される。

中絶未完成だし、推敲もされていないと言う。

死後15年だが、長く紹介されなかった事情も言及されている。

改稿長編の前半に当たる「白樺荘事件」の中絶部、中盤が書かれず、後半になる予定とされる「白の恐怖」。

小説としてのミステリー以上に謎だ。

文庫未収録の短編も収録された、継ぎはぎ的だが作品の未収録度は下がった。

次に翻訳と少年物とドキュメントものに取り組むという。

少なくとも未収録度が益々下がる事は確かだ。

(2017/07/27)