古書日記(2017/10)

「古典文学の現代語訳」

50年経てば小説の文体や仮名遣いは大きく変わる。

徐々に変わった物が積み重なり、読むという事には適さなくなる。

単純な復刊や復刻以外は、現代読者向きに活字や漢字や仮名遣いを改訂する。

漢字を現代に使われる簡略文字に変える事は普通だ。

文語仮名遣いも口語に変える事は普通だ。

それ以上の改訂は、復刊のレベルかは微妙な問題となる。

とにかく、読者は読みやすいものを望む。

古典文学は、現代人には単純には読めない。

文章の問題と、内容に理解出来ない事が多いからだ。

それらは、改訂ではなくて、現代語訳となる。

文章と漢字だけでなく、用語自体も変えるし注記をつける事もある。

小説の場合は、訳者名となるが、**版(訳)と題名につける事もある。

(2017/10/05)

「カズオ・イシグロ作品」

日系作家のカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した。

日本に住んだ事があり、日本を描いた作品がある。

ただしあくまでも英国の英米文学者なので事前予想の対象外だった。

マスコミ報道は紛らわしいものも有ったが、英米文学であり、日本では翻訳が紹介される。

インタビューは当然に英語だが、うっかり日本語を期待した人もいるらしい。

ただし、その作品を原作にしたドラマが日本で製作されている事は、少し異なる。

ドラマの原作はそれが書かれた言語は気にしないものだ。

受賞者には、日本への紹介が極端に少ない作家も存在する。

その中では、カズオ・イシグロはメジャーな方だろう。

出版社が1社のみで、そこに注文が殺到した事が話題になった。

(2017/10/15)

「受賞作なしの新人賞」

小説の新人賞が多数存在する。

ジャンルも歴史も募集条件も多様だが、需要も応募もあって成り立つ。

出版不況の時代とされ、老舗と言われる賞は出版されると需要が見込まれる。

新人賞を含めた賞は、これも不況の雑誌の重要なアイテムとなる。

受賞作が掲載される雑誌は部数が増えるし、受賞後第1作も注目される。

それ故に賞や雑誌の主催者は、受賞作があることが前提だ。

だが、たまには受賞作なしが生じる。

選考委員を中心に賞のレベル維持を考える事もある、そこで受賞なしが出来る。

たまたまか、2017年は受賞作無しが目立つと指摘される。

受賞作のレベルが高いと、選考委員は自慢のようだ。

(2017/10/25)