古書日記(2018/07)

「アガサ・クリスティ」

アガサ・クリスティは、殆どの本が日本に紹介され、しかも現役であり希な作家だ。

早川文庫の、クリスティは多数を揃える揃える希な叢書だ。

その他にも、多数の文庫と出版社から同一原書の翻訳が出されいる。

ポケットミステリーや多数の単行本は、現役とセミ現役状態が多いが古書ならば多数流通している。

従って、復刊と呼ぶ事は少ない。

ただし翻訳の通例で、改訳・新訳は継続的に行われており、現代的な水準の確保が行われている。

流石にその作業では、有名作・人気作品が優先になり、著書全体にはならない。

ベストセラー作家を中心に、作家読本がしばしば作られている。

それ以外に作家別研究本も書かれる事がある。

アガサ・クリスティ完全攻略と題する本が刊行されて、複数のミステリーの賞を得て、現在は文庫化された。

数作の本を読んだ人は多い作者だが、数十作以上の殆どえお読んだ人は少ない。

全て読んだ人が、それを現在の目で評価した攻略本だが、必ずしも有名作が最上位ではないのだ。

(2018/07/02)

「守友恒」

太平洋戦争中は、いくつかの小説ジャンルは発表が禁止された。

禁止されないジャンルでも、作家活動は大きく制限された。

それより少し前に作家活動に入った作者は、影響を多く受けた。

守友恒もその一人であり、戦前では少ない本格探偵小説の作家だ。

戦時中は、探偵小説は禁止され、防諜小説や冒険小説を書いた作者は多い。

時代小説は禁止されなかったので、探偵小説作家には捕物小説を書いた人が多い。

捕物帖はとにかく、防諜小説や冒険小説は現在では読まれる事は殆どなく、空白になっている。

守友恒は、戦時中の作品は空白の一人だ。

守友恒の本格探偵小説の多くを占める黄木陽平を主人公にする作品群が復刊された。

ただし、それ以外は空白のままだ。。

(2018/07/12)

「加田伶太郎作品集」

福永武彦は、ペンネーム・加田伶太郎を使用して探偵小説を書いた。

「加田伶太郎」はあなぐらむで有り、それ自体が遊びの文学のミステリー向きだ。

現在では復刊時に、福永武彦著の「加田伶太郎作品集」に」改められた。

登場する探偵役の名も、あなぐらむで決まれていた。

その題名の復刊では、初出本とその後に書かれた作品が集められた。

復刊は、作品が増えてゆく事もあるが、逆に削られることもある。

「加田伶太郎作品集」は「全集」の名で出た事もあり、一定数の作品が確保された。

加田伶太郎名義の作品には、ジャンルの異なるものもある。

名探偵シリーズ全てが含まれる全集が、ひとつの完結した集まりとなったようだ。

その集まりが含まれると、同一内容とも考えられる。

(2018/07/22)