古書日記(2018/09)

「香山滋」

香山滋は戦後直ぐの雑誌が募集した、新人懸賞からデビューした。

戦後は、横溝正史の本格ミステリの影響もあり、このジャンルが増えた。

だが戦前の怪奇・幻想を中心としたジャンルも続いて書かれた。

その中にはその後に、SF小説と呼ばれるジャンルも含まれていた。

それは昭和30年台に、ジャンルとして分離して発展した。

便宜上の作家の分類はあっても、一人の作者が複数分野を書く事は普通だ。

香山は本格ミステリではなく、戦後派の作者としては結果的に少数派となった

架空の世界とそこでの架空の生物を創造した。

それが怪奇と呼ばれたり、幻想と呼ばれたり、そしてSFとしても扱われた。

戦後は少ない秘境小説を書き、レギュラー探検家を登場させた。

ゴジラの創造者としても知られるが、その誕生原因が設定されている。

昭和50年台に死去するまでに、自身のジャンルで書き継いだ。

(2018/09/10)

「桃源社大ロマンシリーズ」

探偵小説絡みの絶版本を探す人はいつの時代もいる。

桃源社大ロマンシリーズ(ロマン復活)は、戦前・戦中の作家を中心に復刊された叢書だ。

今はそれも絶版であり、古書を探すしかない状態だ。

だが、多くは初出本や雑誌よりも見つかり易い。

同社から多数の作者の全集も出されているので、これも加えると数は増える。

明確なシリーズ区分はされておらず、数は語る人で差がある。

概ねは30冊付近だといえる、全部集めたい人には曖昧さは困るが・・。

単行本の初出にあたる本も多く、その次に復刊される時はこのシリーズが元本となる事がある。

それ以降の読者には、このシリーズ以降の復刊でこのシリーズの名を知る事になる。

ただし作者数は多くは無い。

(2018/09/20)

「江戸川乱歩文庫」

江戸川乱歩作品は、初出も復刊も多い。

その中には、文庫版の全集に近いシリーズが複数ある。

作品が多く、小説に少年向けの挿絵の比重が大きい作品もある。

評論やエッセイも重要であり、完全な全集は難しいようだ。

乱歩が収集した資料を含めて、その蔵の調査が行われた前は資料不足の面もあった。

文庫も春陽堂文庫と講談社文庫と光文社文庫が全集的な構成を取る。

内容的には後になるほど内容が増えるのは自然に思える。

乱歩作品の全集となるとその量は多くなる。

リアルタイムで新刊を購入した人は、かなりの期間購入を続け、かつ全部読んだかは不明だ。

古書の購入方法は個別か一括か?、複数の全集を購入するのか、ファンでも悩ましい。

(2018/09/30)