古書日記(2018/12)

「陳舜臣の短編集の復刊」

陳舜臣は「枯草の根」で江戸川乱歩賞の受賞から作家デビューした。

その後に「青玉獅子香炉」で直木賞、「玉嶺よふたたび」「孔雀の道」で推理作家協会賞を受賞した。

題材と登場人物には、中国・中国人を登場させていた。

中国が舞台の歴史ミステリ小説も書いたが、純粋な歴史小説も多く書いた。

作品名から、その内容やジャンルを判別する事は難しい。

復刊を含めて、単行本・文庫等の古書もかなり流通している。

ただし現在では、探せない本も多い。

再編集の短編集も組まれて、新しい読者に迎えられた。

中国の歴史や文化や人物を登場させて、その中に謎を組み込むスタイルは独自だ。

多数の著書には未読も多いので、また古書を探す。

(2018/12/09)

「戸川昌子の短編集の復刊」

本格派ミステリ以外は、熱心な読者では無かった。

その為にそのジャンルの作者は、既読作が多い。

再編集の作品集では、既読作品がかなり混ざる事になり、扱いに悩む事になる。

逆に既読作品が少ない作者、本格以外の作者は再編集作品集でも既読作品は少ない。

短編集の復刊と、再編集復刊では、既読作が少ない事が読む動機になる。

江戸川乱歩賞作家の戸川昌子は、知名度の高い非本格派ミステリ作家だ。

過去の既読作数は、長編1作と短編少しだけだ。

再編集短編集「緋の堕胎」は既読作がなく、個人的にはぴったりだ。

解説に曰く、山田風太郎的な奇想小説だと・・。

ミステリ味は個々にばらつくが、設定の架空度と展開の奇想性で密度の高い短編になっている。

(2018/12/19)

「金来成の復刊と新訳」

現在は日本語小説の他の言語への翻訳が増えている。

同時に英語以外の言語で書かれた小説の翻訳も増えている。

中国語・韓国語も同様に増えている、その国や地域の出身作家が日本で日本語で活躍した事があるし、現在も同様だろう。

中国語のミステリの翻訳も、具体的に進んでいる様だ。

母国と日本の双方で活動した作者もいる。

その作者の片方の言語作品の翻訳計画もある。

戦後にミステリ作家として日本で作品を発表した、金来成はその語に母国で活動した様だ。

その作品の紹介は、翻訳作業が必要になる。

結果として、日本語作品の復刊があり、他方では日本語への翻訳での紹介となる。

2国言語にわたる活動の作者は、活動範囲が埋もれがちになるのはやむを得ないようだ。

(2018/12/29)