古書日記(2019/05)

「綾辻行人展」

各地で特定の作家に関する展示会がある。

常設展示館もあるが、期間を決めての展示内容を変えて行くイベント方式もある。

東京のミステリー文学資料館は、継続的に作家を変えて展示を行っている。

没後作者や、作家歴の長い作家が選ばれて来た。

現在は綾辻行人展が行われている。

新本格世代の1期生と呼ばれ、その展示会の時代かと思う。

昨年には新本格30年として、アンソロジーやミニイベントがあった。

近年ではミステリの発表は途絶え、怪奇・幻想系を主体に書いている作者だ。

大学生か近い世代、ミステリー研究会出身の作者が複数登場した時代だ。

現在では当時の作品も古書でのみ入手出来る事も多い。

記憶的には、平成に登場した作者の時代に入った事になる。

(2019/05/08)

「書店限定の復刊」

地域や書店ごとで、同じ本でも売れ行きは異なる。

規模の小さい書店では、そもそも新刊でも入荷しないことも普通にある。

出版部数が少なくなっていると言われている、大規模書店でも棚に無い本は多い。

中規模の書店でも棚積み本があり、書店または書店員推薦の本のコーナーがある。

それが成功すると一部の店舗だけで、売上げ部数の多い本が誕生する事になる。

注文する場合は、原則は店舗単位からだが、店舗チェーン単位もあるのだろうか。

本の復刊または増刷が、ある書店限定としても行われている。

細部の事情は不明だが、注文取り寄せの特殊な場合だろうか。

内容的には同じなので、PR面もあるし、店舗・書店毎のイベントの意味もあるようだ。

(2019/05/18)

「総ルピ版の復刊」

雑誌掲載された小説は、運があれば単行本で出版される。

それ以上に運があれば、復刊されるし、文庫版での復刊もある。

復刊の時に誤植以外に書き直す作者は以外と多いようだ。

出版時に時間余裕がある単行本と復刊は、編集者や出版社の意向が反映されやすい。

戦前の小説を中心に、漢字に特殊なルピを付けた作品がある。

種類・手法は多数ありそれが作品と作者の個性となっている。

ただし、版を重ねる程にルピは省かれて行く傾向がある。

マニア的には初出の、一番多い文章を好む人・興味を持つ人がいて、それを総ルピと呼ぶ。

総ルピからルピが減ったものを半ルピと呼び、ほぼ無くなればルピ無しと呼ぶ。

総ルピ版を最初の形として、全集等で復刊する事が多い。

(2019/05/28)