古書日記(2019/06)

「蘭郁二郎の古書と復刊」

戦前の作家・蘭郁二郎は、SFと幻想・怪奇小説の2面性がある。

若くして死去しているが、作品数はその割りには多くある。

時々は作品集が作られて来たが、編者は作品の選びに迷うようだ。

SF小説は、少年向きの作品が多い。

最近は少年向きや、少女向きの小説も復刊されているが、蘭はSFでもありそれ以前から復刊されていた。

幻想小説も複数かかれている、怪奇的な雰囲気も含まれる。

初出本は見かけないが、戦後にある程度の復刊があり、それが古書で流通している。

短編を中心にして、再編集版の作品集も複数編まれている。

一応は直近の作品集の内容を意識するようだ。

従って、2面性が交互に意識されるようだ。

また著作権切れ作者でもあり、パブリック版の電子書籍もある。

(2019/06/07)

「新章文子の短編集」

第5回の江戸川乱歩賞作家の新章文子の短編集が出版された。

昭和ルネッサンスというレーベルからも復刊の意味は強い。

だが意外な事に、新章文子は単行本が少ない。

数作の長編と、ごく少数の短編集だけしかない。

短編は雑誌掲載後は、複数作家のアンソロジーに採られなければ単行本にほぼなっていない。

従って、復刊ではなく単行本初収録になる作品がある。

本の復刊または増刷が、ある書店限定としても行われている。

もし古書で探すならば、雑誌しかない。

本格派でないが地道なミステリも多いが、シリーズ物ではなく単行本にならなかった様だ。

(2019/06/17)

「ポール・アルテの新刊」

海外作家の著書は、基本は本国または同じ言語圏で出版される。

翻訳の世界では、英語で書かれるか、あるいは英語に翻訳される事が普及に繋がる。

英語以外の言語に訳される為には、英語版が出た後でそれから翻訳される事が多い。

そこに翻訳時に言語差の誤差が起きるが、2段翻訳では拡がる。

書かれた言語以外が先に出版される事も希にはある。

権利関係で出版が遅くなると、翻訳版が先行出版の可能性がある。

フランス語で書かれた、ポール・アルテの新作は先に日本語訳が出版されたようだ。

昔にジョイス・ポーターの短篇が、日本の雑誌に初出で翻訳掲載された事があった。

フランス語文化圏は英語よりも読者層が少ないので、翻訳が先の場合もあるのかもしれない。

いずれにしても、しばらく途絶えていたアルテの作品が日本で出版が始まった。

(2019/06/27)