古書日記(2019/11)

「眉村卓死去」

SF作家の眉村卓が死去した。

日本のSFが本格的に書かれた頃から登場していた作者の一人だった。

そのころのSF作者では多い、雑誌「宇宙塵」に参加していた。

映画やドラマになった、「狙われた学園」等の少年・少女向けのSF作品は有名だ。

「司政官」シリーズは代表的なシリーズとされている。

SF分野の賞である、星雲賞を複数回受賞している。

消滅の光輪」で泉鏡花賞を受賞した。

妻の闘病生活時に毎日書き継いだショートショートを集めた作品集は話題となった。

日本SF作家協会の名誉会員でもあった。

(2019/11/06)

「古雑誌の挿絵」

電子図書での復刊も徐々に行われている。

新刊の電子図書化を含めて、電子化は原則としてテキストだけだ。

それはデザインや挿絵には、小説とは異なる知的主権が存在するからだ。

同様に解説やエッセイやまえがき等も、別の人の著作権になるので、掲載されないのが普通だ。

古雑誌の初出本を見る・読む楽しみに、挿絵がある。

新書版にも挿絵が掲載されている事も多い、だが復刊時には省かれる事が普通だ。

雑誌からの復刊を謳った場合でも、挿絵の復刊は希である。

近年雑誌からの復刊が増えつつあり、その一部に挿絵が復刊される事もあり、そのファンには楽しみだ。

挿絵も作者が早く死にでおれば、著作権切れの場合もある、それ以外は正規の手続きが取られる事になる。

(2019/11/15)

「徳島 ことのは文庫」

徳島県立文学書道館が発行する「ことのは文庫」がある。

詳しくは知らないが、同館で販売されている、価格は安い。

その中に徳島出身作家・海野十三の短篇集2冊が含まれていて年譜と解説もある。

多くは知名度の高い短篇も収録されているが、故郷や出生地に関する情報と資料物も含まれている。

海野十三は著作権切れでもあり多数の作品がネットで無料でも読めるが、全容は深い。

全集と称する出版もあるが、全容かは不明だ。

「海野十三全集・全8巻」昭和25年、「海野十三全集・13巻+別巻2」(平成2年)は古書で読める。

徳島市内に海野十三碑があり、駅近くの公園と、出生地安宅町にあるがそれぞれの由来事情が書かれている。

(2019/11/25)