古書日記(2020/01)

「ファラデーの「ローソクの科学」」

自然科学と技術書には、教科書と専門書と啓蒙書がまざる。

専門書では、新刊の最新書が新しい内容を含み有効な事がある。

雑誌の論文ではないので、ある程度確立した内容でないと単行本には出来にくい。

一方では、確立した内容を如何に判り易く、あるいは系統的に習熟させる目的の教科書もある。

他方では、専門外の人向けに科学や技術を親しくさせる目的の啓蒙書がある。

ファラデーの「ローソクの科学」が今また話題だと言う。

著名なあるいは話題の人がしばしば話しに取りあげる、そしてそれで話題になる。

今回はノーベル化学賞の吉野氏が読んだ本だと言う。

古典的な啓蒙書は古書店の定番だ、話題書は新刊もあるが、それ以外は古書が見つかり易いのだ。

(2020/01/04)

「横溝正史の左門捕物帳・鷺十郎捕物帳」

横溝正史の「左門捕物帳・鷺十郎捕物帳」がオンデマンドで出版された。

「朝顔金太捕物帳」に続く出版だ。

こちらは単行本になった事が無く、雑誌が初出になり新刊となる。

単行本にならなかった理由は、人形佐七捕物帳」に書き直されたからだ。

挿絵も同時に復刊されて、雑誌と同じ雰囲気で読めるのはうれしい。

解説等で、編集者から探偵小説味を強くした捕物帳を書けと勧められたと言う。

アイデア的には、海外作を参考にした流用もあると言うが、逆に読みドコロかも知れない。

人形佐七からリライト作を見つける程には詳しくなく、新作的に読んでいる。

探偵小説ファンには横溝作品は楽しい。

(2020/01/14)

「松山巌「乱歩と東京」」

松山巌「乱歩と東京」は1984年に出版された研究だ。

1994年に文庫で復刊されて、緩やかに増刷されているし、古書でも流通している。

1920年代に江戸川乱歩がデビューした、その作品は探偵小説というジャンルの日本での本格的な創始と言われた。

本書は乱歩作品の個々の内容を解析して行き、背景となった時代と土地を調べて行く。

場所は東京であり近代化が進行している都会だ。

登場する人物は明智小五郎を含めて、高等難民・貧乏書生として高学歴・定職なし・賃貸アパートに住む。

世の中に批判的になったり退屈したりしながら、何らかの楽しみを探している。

当時の東京の生活・文化等の資料を基に、背景とその変化を読み解いて行く。

(2020/01/24)