古書日記(2021/02)

「天藤真「日曜日は殺しの日」」

現在での現役作家以外で、作品を入手しやすい作家の条件は、1:全集が出たことがあるだ。

次に、1970年代後半からの角川文庫のミステリ文庫ブームに、本が出た事だ。

前者は一括で入手できる可能性がある。

後者の角川文庫は、出版数が多くて、古書市場の流通量が多い。

双方を満たす作者は多くないが、その一人は天藤真だ。

角川文庫で、ほぼ全作(短編を含めて)が出ているが、加えて創元推理文庫でも文庫全集が出ている。

ただしタイミング的に洩れた作品もある、それが遺作で草野唯雄との共作となった「日曜日は殺しの日」だ。

死の直前と言う事で、持ち前のユーモアが弱いと言われるが、それは仕方がないだろう。

(2021/02/08)

「田島莉茉子「野球殺人事件」」

2000年刊行の「日本ミステリ事典」には「大井廣介」の項がある。

そこでは「覆面作家田島莉茉子名義の長編「野球殺人事件」を埴谷雄高のアドバイスを得て執筆したとも言われる」と書かれている。

他でも同じ事を読んだ事があり、個人的にはそう理解している。

大井は評論家でありジャンルは広い。

数年間、「EQMM」に日本ミステリー時評を書き、1960年頃の本や雑誌で多く見られる。

現在ではその評論は、古書でしか見かけない、評論がまとめらる事は少なく、復刊は更にに稀だ。

長編「野球殺人事件jも同様に長く復刊されておらず、読むならば古書となる。

昭和26年の岩谷書店刊行だが、その頃にはミステリー叢書が出ていたが紙質が劣化しやすいものだった。

「野球殺人事件」は中編「賭屋」と一冊になっているが、私の保有本では劣化が激しく、あとがきが欠落している。

(2021/02/18)

「ナイオ・マーシュ「殺人鬼登場」」

マーシュはクリスティとセイヤーズとアリンガムと共に、英国の女流本格ミステリ作家と紹介されている。

前者2人はほとんどの作品が日本語に訳されていて、アリンガムも少しずつ紹介されている。

それと比べるとマーシュの紹介は少なかった、2000年代になり紹介は増えてはいるが、全貌には遠い。

探偵訳はアレン警部で、妻・トロイとの出会いと結婚と息子誕生と、進むと紹介されているが殆ど翻訳されていない。

「殺人鬼登場」は最初期の1957年の翻訳で、アレンの第二作であり、演劇の舞台で事件という作者得意のジャンルだ。

そこのあとがきに、作者自伝と作品リストがあるがそこに限っても未訳がある。

(2021/02/28)