「鮎川哲也「朱の絶筆」」
本名や複数のペンネームで作品を発表していたが、昭和31年の「黒いトランク」からは鮎川哲也のペンネームを使用した。
主なシリーズキャラクターには、鬼貫警部と星影龍三と三番館シリーズ等がある(他にもある)。
完成した長編があるのは、鬼貫警部であり作品数は圧倒的に多い。
天才型探偵の星影は、謎を聞くだけで直ぐに解決するので、登場方法は後半の僅かとなる。
「朱の絶筆」は雑誌に1年以上連載されて、初回に「星影龍三登場」と紹介されたが、1年は登場しなかった。
最終回になって、警察が関係者を集めると電話が繋がり、そこで星影が事件を解き明かすので、姿を表したのかは微妙だ。
単行本「朱の絶筆」はノベルスだが、星影登場は全280ページの263ページ目だ。
カバーに著者写真と略歴と、著者の言葉があるが、どちらも簡潔で短い。
(2021/09/06)
「飛鳥高「犯罪の場」」
飛鳥高は1921年生まれで1946年デビューして、2020年に亡くなった。
兼業作家だが10作を越える著作がある、だが長く復刊はされていなかった。
2000年に文庫版の短編集が復刊された、最近では5冊の復刊作品集が出版され、他にも復刊等があった。
長編は「細い赤い糸」以外は復刊は長くなかったが、近年の復刊で5作が収録された。。
短編集「犯罪の場」は、同題名のデビュー作を含めた6作からなる第1短編集だ。
作品を並べただけの構成の標準的な短編集で、カバーは切明窓があるのが特徴的だ。
カバーには「推理小説」との書かれており、さらには本題「犯罪の場」の「場」の字だけが活字が左に90度回転されている。
複数の作品がアンソロジーに採られたが、2000年に第1と第2短編集との合本で復刊された。
さらには上記の最近の復刊にも掲載されている。
(2021/09/16)
「島久平「スパイは裸で死ぬ」」
島久平は。第二次大戦後にデビューして、30年に渡り大阪を中心に色々なジャンルの作品を書いた。
関西探偵作家倶楽部の設立にも参加したとしても知られ、関西・西日本が活動の中心となった。
全国紙デビューは雑誌宝石の新人コンクールであり、本格推理小説だった。
その長編「硝子の家」と初期の本格推理小説短編集が文庫になっており、知名度が高い。
その後の作品には時代小説やスリラーやハードボイルドやユーモアや艶笑小説など多彩だが、単行本も今は入手が難しい。
最近になり同人出版で多数の未単行本作品が復刊された事で、マニア的には島久平作品の状況は変わったが商業出版的には動きはない。
長編「スパイは裸で死ぬ」は昭和46年の本で、副題「女スパイ大作戦」で「女・スパイ・裸」がキーワードのユーモア小説だ。
長編「スパイは裸で死ぬ」はノベルスサイズで、出版社の久保書店からは島作品の複数が継続的に出版されている。
戸田和光によると、「スパイは裸で死ぬ」は関西の地方新聞に連載後に単行本になった、少ない例だと言う。
地域の新聞連載作は通常は見つけ難く、レアでも単行本を探す方がまだ楽なのだろう。
(2021/09/26)