古書日記(2021/10)

「藤沢桓夫「青髭殺人事件」」

藤沢桓夫(藤澤)は1904年生まれで1925年デビューで1989年死去の作家だ。

書いたジャンルは多彩であり、その居住地と小説の舞台から関西文壇の長老と呼ばれた。

大阪が舞台の小説の他には、将棋をテーマにした小説も多くあり、自身も将棋が強かったと伝説的な話もある。

推理小説も書いており詳細は不明だが、女子大生の康子を主人公にした作品は本格推理小説だ。

康子シリーズの短編集には、「そんな筈がない」「青髭殺人事件」「康子は推理する」がある。

医大生の康子が知人の新聞記者と刑事と、大阪を舞台に事件を解決してゆく。

「青髭殺人事件」は昭和34年発行のノベルス版で「青髭殺人事件」「スクーター殺人事件」「白い羽根」「不完全犯罪」の4作を掲載した。

巻末にはロマンブックの目録があり、藤澤の他の作品や当時の人気作者の作品がならんでいる、本書は藤澤だが目録には藤沢で載っている。

(2021/10/06)

「梶龍雄「海を見ないで陸を見よう」」

梶龍雄は1952年のデビューで短編とジュブナイル小説を多数発表した。

1977年に江戸川乱歩賞を「透明な季節」で受賞した、それ以降は長編を中心に多数発表した。

「透明な季節」は第二次対戦中が舞台で旧制中学での配属された将校の殺害事件が描かれた。

その後のしばらくの作品は、戦前・戦中。戦前を時代背景にした作品が中心となった。

特に「旧制高校」シリーズは全国の旧制高校を舞台にしている。

その後は、本格ミステリへの関心は継続したが、ジャンル的には旅情ミステリやユーモアミステリや伝奇的な話題のミステリも書いた。

加えてジュブナイルミステリーや弱い官能ミステリも書いた。

「海を見ないで陸を見よう」は乱歩賞受賞後第1作であり知名度はやや低い、大戦直後の神戸・舞子で青年が出会った女性の死に遭い、その姉や刑事が絡み展開していく。

初出は薄手のハードカバーで作者のあとがきがある、そこにはその時代への興味と、本格やジャンルへではなくエンターテイメントを考えているとしている。

(2021/10/16)

藤村正太「コンピューター殺人事件」

藤村正太は。第二次大戦後の昭和24年に川島郁夫の名義で公募短編でデビューした。

その後に短編と中編を継続的に発表したが、シナリオ作家としての活動と共に少年向き小説も発表した。

昭和38年に藤村正太名義で、江戸川乱歩賞を「孤独なアスファルト」で受賞した。

それ以降は長編ミステリを継続的に発表した、主体は本格ミステリであるが、スパイ小説や麻雀ミステリや少年向き小説も書いた。

「孤独なアスファルト」は都会の中での、主人公の孤独を描く比重が高い事で社会派とかバランスの問題も指摘があった。

題材の現代性や時事性はテーマや背景としては普通であり、本格ミステリ指向は変わっていない。

「コンピューター殺人事件」は昭和46年の作品で、ビジネスの世界を舞台にして、経営コンサルタントが主人公で、運輸業界とその電算室でのコンピュータ導入とそこでの殺人事件が描かれる。

業界の複雑な事情が描かれているが、次に北陸で関係者の死体が見つかり、旅情ミステリとは言わないがアリバイ崩しが描かれる。

保有する本は、当時には大きな叢書となっていたロマンブックスの1冊で、帯に作者紹介や写真がある。

作者は昭和52年死去した、作品の復刊は少なくて、古書を探す事が多い。

(2021/10/26)