古書日記(2022/04)

「鮎川哲也「赤い密室」」

鮎川哲也は色々な名義で作品を発表していたが、1956年の長編「黒いトランク」以降は鮎川名義となった。

雑誌掲載の短編のその後は、作者や時代によっても単行本かは異なる。

鮎川の短編も、別名義時代は単行本化は無かったが、鮎川名義以降は徐々に短編集になった。

鮎川作品はその後に短編全集や多数の作品集にまとめられ、その後には全てが文庫化されていった。

鮎川自身も、1980年以降は長編が減少して、短編とその短編集が中心になって行った。

短編集「赤い密室」は1973年の短編集で1929-1947年の作品が収録される。

密室推理が「赤い密室」「白い密室」「青い密室」「矛盾する足跡」と、時刻表推理「急行出雲」「二ノ宮心中」「碑文谷事件」からなる。

作者は後書きで「今は密室物も鉄道物も書きたい気持ちはない」としてその分野の総決算としている

(2022/04/04)

「連城三紀彦「戻り川心中」」

連城三紀彦は1978年にミステリ専門誌「幻影城」でデビューして、廃刊後は活動を広げた。

花をモチーフにした、明治から昭和を舞台にした短編の連作「花葬シリーズ」を書いたが、雑誌廃刊で中断した。

その後に、題名を変えて一般紙に発表して、1980年の「戻り川心中」で日本推理作家協会賞を受賞した。

トリッキーなミステリであるが、一方では男女の恋愛や関わりを描いた。

その後は、ミステリ性よりも恋愛小説味が濃い作品も多く発表して直木賞等を受賞した。

それら作品にもミステリ手法が多く使われていた、アクロバット的とも逆説的とも言われる作品群は読み継がれている。

「戻り川心中」は、「花葬シリーズ」の短編5作からなる連作集で1980年に出版された。

その後書きで、作者自身が「幻影城」と「花葬シリーズ」について、事情を書いている。

この本の幻想的な装丁は、連城のモチーフと重なり、以降の本でもしばしば類似モチーフが見られる。

(2022/04/14)

「山田風太郎「夜よりほかに聴くものもなし」」

山田風太郎は、1947年デビューで多彩な作風であり後年に奇想と言われた作風で多くの作品を書いた。

デビューは探偵小説の公募新人賞であり、1949年に探偵作家クラブ賞を受賞したが、ミステリだけに捕らわれない作品を書いた。

その上で、ミステリ色の濃い作品も多く、探偵役に医師の荊木歓喜を使ったシリーズとして「十三角関係」がある。

時代小説や明治物や忍法帖らにも多数の作品があるが、その中にはミステリ的な仕掛けを入れたものも多い。

連作「夜よりほかに聴くものもなし」は1962年に変形新書版のミステリー叢書で出版された。

傑作長編推理とと表記されているが、全10話からなる連作ミステリで、大下宇陀児の帯文と著書紹介と作者の後書きがある。

主人公の老年の八坂刑事が、母の死で故郷に戻り刑事生活を振り返たりもした。

そしてその故郷で事件があり犯人を捕らえる事になる、3話から所轄での担当事件が描かれる。

最終10話には弟の病気で再度故郷に戻り、そこで事件の遭遇する。

(2022/04/24)

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