古書日記(2022/05)

「中田耕治「異聞猿飛佐助」」

中田耕治は小説家で、翻訳と舞台演出分野でも活躍したが、2021年に死去した。

1961年に「危険な女」でデビューして、ハードボイルド小説やSF小説を中心に活躍した。

一方では翻訳が多数あり、ヘミングウェイやスピレインやジョン・マクドナルドやロス・マクドナルド等を紹介した。

SFでは、アーサー・クラークやフィリップ・ディックやフレドリック・ブラウン等を翻訳した。

「異聞猿飛佐助」は1963年に東都ミステリーに書き下した時代小説で時代ミステリーだ。

写真付きの作者紹介と作者後書きと荒正人のカバー文がある。

以降に「異聞」と付く、時代ミステリを数冊書いている。

その後には小説の評論と、それ以外の分野の評論も書き、多彩なジャンルで活躍した。

(2022/05/04)

「飛鳥高「顔の中の落日」」

飛鳥高は1921年生まれで1946年デビューで、2021年に死去した。

兼業作家だが10作を越える長編を含む作品を発表した。

長編「細い赤い糸」で日本推理作家協会賞を受賞したが、この作品以外は殆ど復刊されていなかった。

だが最近になり「飛鳥高探偵小説選」が断続的に6巻出版されて、多数の短編と6冊の長編が復刊された。

復刊長編はいずれも初だが、残った長編作はいまだ復刊の目途はないようだ。

昭和30年代後半の「東都ミステリー」叢書には飛鳥は2冊書き下ろしているが、どちらも復刊されていない。

「顔の中の落日」は昭和38年の作品でこの叢書としては長めで、島田一男の帯文と作者の後書きがある。

飛鳥は本格ミステリのアンソロジーへの採用率が高いが、長編は本格ではなくスリラー。サスペンス色が強い。

不安定な人間関係と個人の孤独を中心に描き、そこに生まれる謎を描く。

(2022/05/14)

「南部きみ子「砕かれた女」」

南部きみ子は1958年デビューで、1962年の「砕かれた女」発表した後は、南部樹未子名義に変えた。

作品で人が死ぬことを描いた事でミステリを書く様になったと紹介される、従って心理ミステリ・心理サスペンス色が強い。

「砕かれた女」は推理小説専門叢書・東都ミステリに「乳色の墓標」に続いて書かれた。

変形新書サイズで作者のあとがきと、紹介と写真、と有馬頼義の短文がある。

母性愛、母子心中、出産時の選択等を、子の失踪からの3つの事件を通して描いた。

作者は本作後に一度、ミステリから離れたが、1976年以来に再度ミステリを書き始めた。

やはり女性を中心とした心理小説・サスペンスであった。

以降は、一般の小説とミステリに加えて、宗教書と言われる分野を書いた。

(2022/05/24)

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