古書日記(2023/02)

「仁木悦子「黒いリボン」」

仁木悦子は1957年ミステリ作家としてデビューした、それは第3回江戸川乱歩賞受賞作だった。

音楽学校の生徒の1人称でその兄を名探偵役とした、明るい雰囲気の作品で読者層を広げたとされた。

その後にこの兄妹が主人公の作品を中心に、作品を発表した。

「黒いリボン」は1962年に東都ミステリ叢書として出版された。

本文と作者の「あとがきの代わりに」があり、さらにカバーに作者紹介と写真がある。

そしてカバーに新章文子の短文がある、仁木はこの叢書の新章作品に短文を書いていた。

仁木兄妹は春夏秋冬の4長編があり、本作は4作目の春になる。

本作は詐欺の新商売を考えた男の行動を描く、作中に佐野洋「欠員製造業」が登場する。

仁木作品は、本格推理だが、本作は誘拐事件を扱いサスペンス味が濃い。

(2023/02/08)

「大藪春彦「名のない男」」

大藪春彦は1958年に、同人誌から中編が、雑誌「宝石」に転載されてデビューした。

その主人公・伊達公彦は「野獣死すべし」等のシリーズとなって行った。

アメリカの小説の影響を受けたとされた作品群は、暴力的・犯罪的な要素が強いが新しい要素も多かった。

長編「名のない男」は1963年に東都ミステリ叢書の1冊として発表された。

主人公の一人称で語られるハードボイルドスタイルであり、警察官だが覆面刑事=秘密捜査官だ。

本書は作者あとがきと、カバーに作者近影と紹介があり、さらに仲代達也の短文がある。

作者は後書きで小説でも作品でもなく、銃と車について語る、だが「羊の衣を来た狼のような車」を語り、実生活では地味に行きたいとした。

本作の主人公は、ハードボイルドではしばしばある名のない「私」であり、それも作者の願望のひとつかもしれない。

(2023/02/18)

「結城昌治「死者におくる花束はない」」

結城昌治は昭和29年にデビューして、多数のジャンルの作品を書いた。

その一つで代表的なジャンルが、ハードボイルドであった。

いくつかのシリーズがあるが、シリーズ作品数は多くない。

「死者におくる花束はない」は1962年に東都ミステリ叢書の1作として出版された。

作者のあとがきと、カバーに作者紹介と写真があり、さらにカバーに中村真一郎の短文がある。

作者のあとがきでは、ハードボイルド探偵小説に対する思いが書かれている。

久里十八探偵事務所の探偵のわたしが主人公であり、名前は中々出てこないが私立探偵・佐久シリーズと呼ばれる。

その後に短編集と長編が加わり、3冊のシリーズとなった。

その後には、私立探偵・真木シリーズや、紺野弁護士シリーズが登場する。

(2023/02/28)