「鮎川哲也「しぶとい殺人者 鬼貫警部と四つの殺人事件」」
鮎川哲也の「しぶとい殺人者 鬼貫警部と四つの殺人事件」は、1986年にノベルス版で青樹社から出版された短編集だ。
カバー表紙に作者の写真と紹介文がある。
収録作は「悪魔が笑う」「誰の屍体か」「一時一〇分」「碑文谷事件」の4中編だ。
本文と、著者あとがきとして「ハルビン回想--あとがきにかえて」と、解説として山前譲の「凡人探偵鬼貫警部」がある。
「悪魔が笑う」はハルビンが舞台であり、作者の「ハルビン回想」ではハルビンの地図を掲載するまでの経過と、思い出的に街並みについて書かれている。
「凡人探偵鬼貫警部」には、1:鬼貫登場、2:鬼貫の実像、3:鬼貫の推理、4:鬼貫の虚像、6:鬼貫の哀愁、が詳しく述べられている。
さらには山前作「鬼貫警部シリーズ作品リスト」が掲載されて、長編小説と短編小説のリストと、短編集書名リストがある。
このリストには、「鬼貫の名前は出てこないが明らかに鬼貫らしい警部が登場する作品」「丹那のみ登場の作品」も含まれている。
初期の鬼貫が登場する作品集であり、鬼貫の情報が多い本でもある。
(2023/11/05)
「鮎川哲也「殺人歌劇<第二幕>」」
鮎川哲也の「殺人歌劇<第二幕>」は、1991年に新評青樹社からノベルスで出版された作品集だ。
収録作は「皮肉な運命」「まだらの犬」「首」「首」「霧の湖」だ。
「殺人歌劇<第一幕>」の続編となっている。
カバーに後付と、著者紹介文がある。
作者による「作品ノート」があり掲載作について書かれている。同じ題名「首」についても書かれている
末尾に山前譲の「鮎川哲也氏の四十年--無限大の彼方のゴールを目指して(後)」がある、<第一幕>に次ぐ後編だ。
そこでは鮎川哲也の創作活動の足跡が書かれているが、平成に入ると小説が減って、エッセイ・アンソロジー等の仕事が増えている。
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(2023/11/15)
「鮎川哲也「モーツアルトの子守歌」」
鮎川哲也「モーツアルトの子守歌」は立風書房から1992年に出版された。
「バー三番館」シリーズの1冊で、それはノベルズ版が多いが、この本はハードカバーで出された。
「バー三番館」のバーテンが最後に謎を解くシリーズは初出は6冊出版されたが、これは最後の6冊目で、短編が7作収録されている。
本文と「あとがき」があり、カバーには作者のやや古い写真が使われている。
「あとがき」では、「「クィーン検察局」で(中略)、証拠物件にも触れたことがないのだ。わたしには、謎が解明されれば凡て良しと するクィーンの行き方に、短編のコツを見つけたように思った。(後略)」と書いている。
「三番館シリーズ」は執筆量の減った最高期の鮎川の代表作となった。
(2023/11/25)