古書日記(2023/12)

「鮎川哲也「幻の探偵作家を求めて」」

鮎川哲也の「幻の探偵作家を求めて」は、1985年に晶文社から出版された研究・エッセイ集だ。

探偵小説の初期の時代に登場したが、消息不明になっている作者または遺族を訪ねてインタビューする企画の本だ。

1975年から雑誌「幻影城」に、「幻の作家尋訪記」として連載された。

単行本も出版予告されて、予約募集も行われた、私も予約したが、出版社の倒産で刊行されなかった。

その後に雑誌「問題小説」に2回掲載された、これらに書下ろし2編を加えて、「幻の探偵作家を求めて」として出版された。

結果的に登場作家は21人となったが、半数以上は生存していた本人へのインタビューであり、時期的にぎりぎりのタイムリーな企画だった。

マイナーと言われる作家が中心であり、著書本がある作家は稀でありそれも絶版がほとんどだった。

だがその後に復刊、作品集の出版が進み、数名の作者に単行本が出版された、そこでは「幻の探偵作家を求めて」が情報として引用される事になった。

鮎川は同時期に、多数のアンソロジーを編んでおり、その中には本著の趣旨もあり、本書の登場作家を選ぶ事もあった。

(2023/12/05)

「鮎川哲也「こんな探偵小説が読みたい」」

鮎川哲也の「こんな探偵小説が読みたい」は、1992年に晶文社から出版された研究・エッセイ集だ。

副題が「幻の探偵作家を求めて」であり、同名の本の続編に当たる。

1989年から1991年5月雑誌「EQ」に連載されたものをまとめた。

カバーに後付と、著者紹介文がある。

訪問記とともにその作者の短編を収録した、作者数は12名だ。

鮎川による「あとがきにかえて」があり、副題は「松村喜雄を偲ぶ」であり、「こんな探偵小説が読みたい」に収録した作者の3名が亡くなった 事が載っている。

そもそも本書では、生存している作者自身へのインタビューの比率が減っている。

作者本人へのインタビューが可能な時は特にその情報は貴重だった。

(2023/12/15)

「鮎川哲也「唱歌のふるさと 花」」

鮎川哲也「唱歌のふるさと 花」」は音楽之友社から1992年に出版された。

ミステリー作家・鮎川としてではなく、別ジャンルでのエッセイだ。

雑誌「教育音楽・小学版」に「うた その幻の作家を探る」として連載されたと言う。

ジャンルが異なると、幻の作家に関するエッセイも表現は大きく異なる。

本著は春をテーマに編まれているが、続巻として「旅愁」「うみ」も刊行された。

ミステリとは無関係なのだが、鮎川個人のファンには見逃せない本だとも言える。

(2023/12/25)

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