「仁木悦子「穴」」
仁木悦子「穴」は、1971年に講談社から出版された。
ハードカバーの作品集で、著者のあとがきがある。
掲載作は「穴」「明るい闇」「山のふところに」「一本のマッチを擦る時」「幽霊と月夜」「誘拐者たち」「うさぎと豚と人間と」だ。
その後1979年に、講談社文庫化されたが何故か「一本のマッチを擦る時」のみ省かれており、それだけが読めない状態となった。
仁木はあとがきで、デビュー以来の15年を振り返っている、さらに「推理小説的な要素と小説としてのおもしろさとを1つの作品の中に 調和させる事」について語っている。
権田万治は文庫の解説で、その謎と小説との調和について述べて、作品集「穴」での小説的なおもしろさと工夫があると解説している。
それぞれの短編は、その後も採録・復刊、アンソロジーへの収録が行われている。
(2024/05/03)
「仁木悦子「赤い真珠」」
仁木悦子「赤い真珠」は、1971年に毎日新聞社社から出版された、仁木の短編集だ。
「赤い真珠」は、ソフトカバーで、「推理小説集」と帯に書かれている。
収録作は、「赤い真珠」「凶運の手紙」「くれないの文字」「虹色の犬」「あの人はいずこの空に」「夢魔の爪」だ。
「赤い真珠」は、ワトソン役だった仁木悦子が結婚して浅田悦子になり、哲彦と鈴子の子供がいる、そこで一人称の探偵役として活躍する。
「くれないの文字」「夢魔の爪」は、桐影秘密探偵社の三影潤が探偵役の一人称のシリーズ作品だ。
他の3作は、ノンシリーズとなる。
掲載作品は、後の度々復刊されるが、再編集のバラバラ短編集であり、このタイトルの復刊はなかった。
(2024/05/13)