「後藤安彦「猫と車イス」」
後藤安彦「猫と車イス」は、1992年に早川書房から出版された。
仁木悦子の夫で翻訳家の後藤安彦による、仁木悦子の生涯を描いた伝記だ。
副題は「思い出の仁木悦子で、著者は「仁木悦子について自分が知っている事を書いた」としている。
ハードカバーで、作者の写真と鮎川哲也の「仁木悦子断片」の文と、仁木悦子年譜が掲載されている。
本文は、16章からなり、「短い序章」「出会いの章」からはじまり、6章が「『猫は知っていた』の章だ。
10章の「のんびりスタートの章」で仁木と後藤が結婚する、12章の「桐とかがり火の章」で女流推理作家の集まり「霧の会」と、仁木の編著の「妹たちのかがり火」が描かれる。
15章の「おしまいの章」で仁木の死去までが描かれる、あとがき的な最終章になる。
(2024/09/10)
「飛鳥高「疑惑の夜」」
飛鳥高「疑惑の夜」は、1958年に講談社から出版された、飛鳥の初長編だ。
飛鳥高はは1946年に短編「犯罪の場」でデビューして、1970年代までに作品を発表した。
その後は作品は僅かになり、2021年に死去した。
飛鳥はデビュー作の影響もあり、本格派と言われる事もあるが、数的にはサスペンスが多い。
「疑惑の夜」は1958年に発表された、作者の初長編で、全体としては心理サスペンスだが、不可能事件も部分的に取り入れている。
函付きのハードカバーであり、ほぼ本文のみの掲載となっている。
「疑惑の夜」は、2016年に「飛鳥高探偵小説選1」の中で復刊された。。
(2024/09/20)
「飛鳥高「死を運ぶトラック」」
飛鳥高「死を運ぶトラック」は、1959年に和同出版社から出版された、飛鳥の第二長編だ。
「疑惑の夜」は江戸川乱歩賞応募作だが、「死を運ぶトラック」は初めての書下ろし長編だった。
ハードカバーだが、保有本は貸本上りの傷み本で、詳細は不明だ。
作品はサスペンス面が強くあり、同時にスリラーとも言われる。
被害者の名が不明でそこから刑事の捜査があるが、一方では容疑を掛けられた者の視点での恐怖もある。
「死を運ぶトラック」は1961年に再刊されたが、その後は2016年に「飛鳥高探偵小説選2」に掲載復刊された。
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(2024/09/30)