「飛鳥高「甦る疑惑」」
飛鳥高「甦る疑惑」は、1959年に大和出版から出版された。
飛鳥高の第3長編で、ハードカバーで函入りだ。
その後に1961年に「灰色の川」と改題して、再刊された。
建築家を殺害した?その運転手が、建築家の愛人は、死体が消えて驚く。
一方で死体は離れた代議士の家で見つかる、その用心棒と家政婦?との視点で事件が進む。
死体の移動と犯人の謎を抱えて、双方を含む複数視点で進むサスペンスだ。
犯人・容疑者が自分の犯行かを疑う、あるいはその謎を調べる展開は、サスペンス色を強くしている。
(2024/10/10)
「飛鳥高「崖下の道」」
飛鳥高「崖下の道」は、1961年に東都書房から出版された、第5長編だ。
変形のソフトカバー本で、著者によるあとがきがある。
あとがきでは、「あまり恵まれない市井の若者の、無計画で平凡な生活とその挫折とを書いて見ようと思った。(中略)
探偵小説の面白さの土台となっているものは『謎』の持つ魅力であろう。(中略)謎はある確率で常に人々の日常を脅かしており、 そのことはそのまま探偵小説のテーマであると、私は考えた。(後略)」とある
主人公はトラック運転手で、その兄は工場のストライキに関わるが、そこで事件が起きる。
主人公は、事件に兄が関わると、疑惑を持つ。以降は捜査する刑事側と、主人公の視点とを中心にして描かれる。
刑事の捜査の比率も高いが、サスペンス色が濃い。
(2024/10/20)
「飛鳥高「虚ろな車」」
飛鳥高「虚ろな車」は、1962年に東都書房から出版された、飛鳥の第7長編だ。
東都書房の「東都ミステリー」叢書の1冊で、変形の新書版で。
本体に作者の「あとがき」があり、カバーに江戸川乱歩の「飛鳥君のこと」と、著者近影写真と紹介文がある。
作品はサスペンス面が強くあり、車に跳ねられたらしき死体が見つかり刑事らがタクシー会社から捜査する、さらには雑誌記者も 調査を始める。
被害者がようやくわかるとその周囲に容疑者が現れる。複数視点と叙述で、サスペンスを高めて行く。
乱歩は「社会性とプロットとトリックの存在」を述べ、作者は「わたしは」死を書き、殺人を書く」と言う。
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(2024/10/30)