古書日記(2024/11)

「飛鳥高「顔の中の落日」」

飛鳥高「顔の中の落日」は、1963年に東都書房から出版された。

東都ミステリ叢書の1冊で、飛鳥高には2冊目となる、変形新書版のソフトカバーだ。

本文に作者の「あとがき」があり、カバーに島田一男の紹介文と著者の写真と紹介がある。

建築家を殺害した?その運転手が、建築家の愛人は、死体が消えて驚く。

「あとがき」では、人間の関係は不明瞭であるとして、その断絶を描いたと書いている。

さらに題名「顔の中の落日」はシャガールの絵からつけたとしている。

消えた男を追う、兄と妹を描いてゆく、サスペンスのミステリだ。

(2024/11/09)

「飛鳥高「死刑台へようこそ」」

飛鳥高「死刑台へようこそ」は、1963年に文藝春秋新社から出版された、第9長編だ。

当時に急速に出版数が増えた新書版であり、「ポケット文春」叢書の1冊で122の番号がつく。

カバーに短い紹介文があり、さらに著者の写真と紹介文がある。

著者紹介では「(前略)飛鳥さんの興味は、人間とほかのさまざまな人間との間柄が、いかに不明瞭不透明なものであるかという点にあるようだ。 従って、氏の小説の「謎は」、新鮮なそのトリックにある以上に人間の心の側にあり、読者は、次元のちがった世界をさまようことになるのである。」とある

材料メーカー社員で小説家でもある久保が作家志望女性の取材に同行した。

一方身元不明女性の死体が発見されて、刑事らの捜査が始まり、久保の職場にも行く・・・・・。

飛鳥としては珍しい題名のつけかたであり、文体はそれに合わせて変わっている、だがサスペンスの展開は変わっていない。

(2024/11/19)