「飛鳥高「青いリボンの誘惑」」
飛鳥高「青いリボンの誘惑」は、1990年に新芸術社から出版された。
飛鳥高が活動を停止した以降に書かれた、唯一の長編でハードソフトカバーだ。
本文に作者の「あとがき」があり、帯に中島河太郎の紹介文がある。
サスペンス色の濃い長編が多い作者だが、本作は飛鳥作品の中ではミステリー色が濃い。
「あとがき」では、久しぶりに長編を描いた理由として、最近ようやくに時間的に余裕ができてきたという。
死期を迎えた男が、過去に自分の犠牲になった人を調べた。
その中で、新たに過去に絡む事件が起きる、過去と現在が交錯して展開して行く。
本作は、2018年に「飛鳥高探偵小説選4」の中で復刊された。
(2024/12/09)
「飛鳥高「犯罪の場」」
飛鳥高「犯罪の場」は、1959年に光書房社から出版された、短編集だ。
飛鳥の初の短編集であり、「逃げる者」「二粒の真珠」「犠牲者」「金魚の裏切り」「犯罪の場」「暗い坂」を収録する。
ハードカバーだが、真鍋博の装幀が特徴的だ。
カバーに台形の切り込みが有り、そこから表紙の「飛鳥高 光書房」の文字が見える、さらには本体の2ページ目の中表紙にも長方形の切れ込みがある、そこから次のページの女性顔写真が見えている。
1946年に短編「犯罪の場」でデビューした飛鳥だが、著書は1958年の長編「疑惑の夜」が初で、短編集「犯罪の場」がそれに続いた形だ。
長編ではサスペンスが主体の作風だが、短編では多彩であり、初期短編では本格推理も多かった。
短編「犯罪の場」は代表作としてアンソロジーにたびたび取られている、さらに作品集「犯罪の場」の他の作品もアンソロジーに多くとられている。
(2024/12/19)
「飛鳥高「飛鳥高名作選 犯罪の場」」
飛鳥高著、日下三蔵編「飛鳥高名作選 犯罪の場」は、2001年に河出書房新社から出版された、飛鳥の短編集だ。
河出文庫の「本格ミステリコレクション」叢書の6冊の1冊だ。
「第一期」となっているが、二期はなかった、さらに「飛鳥高」「岡田鯱彦」「楠田匡介」「鮎川哲也」「島久平」「鷲尾三郎」の登場作家の中で本格派とはっきり言えるのは鮎川だけであり、他は本格も含めた多彩な作風だ。
「飛鳥高」もすでに紹介したように長編はサスペンスが中心であり、短編でも本格は作風の一部だ。
「飛鳥高」が本格派と言われるようになった理由は、鮎川哲也がそのアンソロジーに多数採用したことと、日下の編んだこの短編集の影響が大きい、この企画は入手しにくい作品を文庫化する目的であった。
本短編集は、飛鳥の2冊の短編集「犯罪の場」「黒い眠り」を合わせた短編集となっている。
文庫版約600ページで揃いのカバー・装丁のシリーズ6作は、昭和のミステリ愛好家の愛読書だ。
(2024/12/29)