古書日記(2025/11)

「土屋隆夫「妻に捧げる犯罪」」

土屋隆夫「妻に捧げる犯罪」は、1972年に光文社から出版された、この本から土屋の新作は光文社からの出版が増える。

光文社の「カッパ・ノベルス」という新書版の叢書の1冊だ。

「妻に捧げる犯罪」は、ノベルスのカバーに、著者近影写真と、鮎川哲也にとる著者紹介があり、さらに著者のことばがある。

鮎川の紹介文は「(前略)、推理作家としてスタートを切って二十年、仲間の大半は筆を折ってしまい、いまや土屋隆夫氏の独走といった観がある。(中略)つねに濫作をさけ、 納得のいく作品だけを生み出してきたからだろう。(後略)」とある。

著者ことばでは、「(前略)、わたしの作品系列から見れば、異色と呼ぶべきかもしれない。しかし毛色は変わっているが、嫡出子としての容貌はそなえていよう。(後略)」とある。

土屋作としては異色作であり、代表作として推す人は少数だろうが、人気ノベルスから出た土屋の久しぶりの新作であり、3年後に購入した私の保有本は増刷14刷となっている。

本作以降は、千草検事シリーズが少数書かれ、その後はノンシリーズに移ってゆく。

(2025/11/02)

「土屋隆夫「盲目の鴉」」

土屋隆夫「盲目の鴉」は、1980年に光文社から出版された。

光文社の「カッパ・ノベルス」という新書版の叢書の1冊だ、この作以降はハードカバーの単行本での出版になる。

本文と作者の「あとがき」と権田萬治の解説がある。

「盲目の鴉」は、ノベルスのカバーに、著者近影写真と著者紹介があり、さらに大西巨人の短文がある。

あとがきで「『泥の文学碑』という短編がある。(中略)これを長編に書き下ろしてみたい(中略)。大西巨人氏の『神聖喜劇』の完結を知り、(中略)『日本遅筆レース』の最終ランナー として、よろよろとして走りつずけなければばらなかった。(後略)」

権田の解説は「文学的ロマン豊かな本格推理」の題で、「泥の文学碑」の事、千草検事シリーズの事、「盲目の鴉」のストーリー、「盲目の鴉」の題名と詩人の大手拓次の作品について、。。」 等を述べている。

大西巨人の文は「期待作完成」の題で、探偵小説と、土屋と、大手拓次の詩作と「密室の幻影」について、書いている。

「盲目の鴉」は「妻に捧げる犯罪」からの8年振りの新作であり、これについて度々上記の文で述べられている。

(2025/11/17)