「泡坂妻夫「11枚のトランプ」」
泡坂妻夫「11枚のトランプ」は、1976年に幻影城から出版された。
「11枚のトランプ」の初版はアンカットのフランス装の単行本で、「幻影城ノベルス」叢書の1冊だ。
アンカットのフランス装は、化粧た裁ちしていない本であり、全体が袋閉じ本と言った感じで、数ページごとにペーパーナイフで切りながら読む。
しかし、知らない書店から落丁として(しかも傷められて)返品されたと言う。その結果、数冊で普通の装丁に変更された。
50年後の現在では、ペーパーナイフの切り跡はけばたち、紙質自体も劣化が目立っっている。保存性は劣るようだ。
本文と二上洋一の「プロフィール・泡坂妻夫」があり、カバーに著者近影写真と、あらすじがある、帯文に「大型新人の処女長編」とある。
「プロフィール・泡坂妻夫」では、奇術師でもある泡坂の紹介と、「ミス・ディレクション」「フォース」という奇術用語と探偵小説との関わるが述べられている。
「(前略)。第二部は11のショートショートが太陽を囲む惑星のように、それぞれの場所に位置し、それぞれの役割を果たしている。(中略)。第三部で、世界国際奇術会議 を背景に、マジキクラブで起こった殺人の謎が解かれる。
(中略)凝りに凝った構成が、奇術界という独得の世界や泡坂妻夫の本質と調和して、「11枚のトランプ」という、氏の代表作を作り上げた。(後略)」。
(2026/03/02)
「泡坂妻夫「乱れからくり」」
泡坂妻夫「乱れからくり」は、1977年に幻影城から出版された。
「乱れからくり」は幻影城から出版の本の2冊目だが、一般的なハードカバーに変わっている。
本文と、中井英夫の「プロフィール・泡坂妻夫」があり、カバーに「乱れからくり」のあらすじと著者写真がある。
帯に「待望の第二長編」とあり、「11枚のトランプ」の紹介(広告)と、中井英夫の評が載っている。
「プロフィール・泡坂妻夫」では中井は、「奇術師・厚川昌男としての泡坂」が紹介され、「幻影城新人コンクールと、その後の作品」と「名探偵・亜」について語り、 戦前の雑誌・新青年の新人作家の連作短編について触れて、最後に泡坂作品が読めることが幸せだと語っている。
本格ミステリの「乱れからくり」は直木賞候補になるが受賞せず、のちに候補の常連になってゆく。
一方では「乱れからくり」は、日本推理作家協会賞を受賞して、泡坂の出世作となってゆき、文庫版での復刊は複数出ている。
さらに劇場版映画化されて、泡坂自身も2カット出演している、さらにはテレビの2時間ドラマ化も行われた。
原作の主人公・宇内舞子と相棒の勝敏夫の印象は強く、映画では勝がより中心に作られ、ドラマでのこのコンビは後に原作に登場しない作品にも使われた。
(2026/03/17)