悪名:1

昭和初期、河内百姓の伜朝吉（勝新太郎）は無類の暴れ者で軍鶏博打で父に怒られた。
盆踊の晩、人妻・お千代（中田康子）と知りあい有馬温泉へ駆落した。
働くお千代を、遊ぶ朝吉は退屈し、彼女が酔客といるのを見て河内に帰り、幼馴染とあい松島遊廓にくりこみ、琴糸（水谷良重）は朝吉に惚れた。
連れが土地の暴れん坊のモートルの貞（田宮二郎）と喧嘩し、彼らと貞は翌朝対決し朝吉の働きで吉岡組の貞は負けた。
貞の親分吉岡（山茶花究）の客分となり、朝吉は喧嘩やバクチ場が強く貞もひかれた。
朝吉の馴染の琴糸が逃げて来たが、松島一家を恐れた吉岡の薄情に貞は一家を去った。
琴糸は隣のお絹（中村玉緒）・お照（藤原礼子）の家に匿われており、松島一家は吉岡組に殴り込んだ。
朝吉とお絹、貞とお照は互いに一夜を共に過ごし、お絹は朝吉に「妻にする」という証文をかかせた。
琴糸が松島一家に捕まり因島へ売られ、朝吉と貞は対策を練りピストルといかさま博打で金を得て因島にのりこんだ。
朝吉と貞は大和楼に琴糸を見つけ、宿のおしげ（阿井美千子）にシルクハットの親分（永田靖）を聞き船頭を探した。
＜以下、隠し字＞
貞は別の宿をとり琴糸に会い抜け出す相談をし、朝吉と琴糸は船で逃げたが潮に流されてまた港へ戻され、度胸をきめて琴糸と貞と朝吉は旅館の大広間に立籠り、シルクハットの親分が琴糸を渡せと迫って来た。
朝吉はピストルで親分の心臓を狙い、そこへこの旅館の主で島の女王麻生イト（浪花千栄子）がでてきて、シルクハットの無礼をなじり仲裁をかって出た。
仲裁の儀が成立し、琴糸と朝吉と貞は１週間の余裕を貰い港を離れた。
大阪で、お絹と会った琴糸を東京へ送り、因島へ戻った。
そして、麻生イトは・・・・・。

監督：田中徳三
脚色：依田義賢
原作：今東光
出演者：勝新太郎・田宮二郎・中村玉緒・中田康子・水谷良重・山茶花究・藤原礼子・阿井美千子・永田靖・浪花千栄子
制作年：1961年

感想： 仕掛けのない筋を追うストーリーだが、人物の魅力で見させる。
ずっと、飽きないかどうかは判らないが。

満州事変の頃、故郷の河内で朝吉（勝新太郎）とお絹（中村玉緒）は百姓仕事を始めたが、弟分モートルの貞（田宮二郎）の訪問で大阪へ戻り、吉岡（山茶花究）親分を見舞い、そこの居候で貞の弟分・河太郎（南都雄二）を預かった。
河太郎と女房・チェリー（長谷川季子）が欺された難波新地の親分・沖縄の源八（上田吉二郎）に貞は乗り込み勘定をとり立てた。
お絹は、お照（藤原礼子）に子供が出来た機会にぜんざい屋を開いて足をあらう事を言い、朝吉と貞は本気で悩み、朝吉は吉岡を陥しいれた松島の長五郎（山路義人）に憤激し貞と長五郎を半殺しにした。
足を洗うつもりの朝吉だが、松島一家の元締（二代目中村鴈治郎）に長五郎の縄張りと子分衆を押しつけられ、酔った貞はお照と間違えチェリーを抱いて大騒動になり、朝吉も勝手にやくざの親分になったり、琴糸（水谷良重）の写真でお絹にとっちめられた。
朝吉に沖縄の源八が喧嘩をふっかけるが、源八の縄張りと子分と家まで朝吉が引き受ける事になった。
朝吉の家へ琴糸現れ、お絹に教えられ会い因島の麻生イト（浪花千栄子）親分の家へ行きたがり、朝吉と貞は琴糸を因島へ送りイトから金を借りた、シルクハットの親分（永田靖）に会った時に夕顔（浦路洋子）という河内の女に会った。
＜以下、隠し字＞
大阪へ帰った朝吉は、松島の元締から足抜けの引き締めを言われた矢先に、チェリーが松島から足抜けし新興やくざ新世界のカポネ（藤山浩二）一家と対立し、松島の元締は朝吉の助ッ人を断った。
朝吉は助っ人なしで闘うと決めたが召集令状が届き、朝吉は貞に金が全てのやくざの世界を説き、子分たちに堅気にしたいと言ったがカポネ一家に襲撃され、数日後に貞はチンピラに刺されて死んだ。
朝吉は国の出入りはムシケラ同然と言いながら行軍した。

監督：田中徳三
脚本：依田義賢
原作：今東光
出演者：勝新太郎・中村玉緒・田宮二郎・山茶花究・南都雄二・長谷川季子・上田吉二郎・山路義人・二代目中村鴈治郎・藤原礼子・水谷良重・浪花千栄子・藤山浩二・浦路洋子
制作年：1961年

感想： 腕と度胸が売りの男が、ヤクザは金の世界と気づき、
さらに国のけんかの戦争ではひとりは小さい存在と知った。

復員した朝吉（勝新太郎）は河内では戦死になっていて、女房・お絹（中村玉緒）は再婚していて、朝吉は死んだモートルの貞の女房・お照（藤原礼子）を大阪の闇市に訪ね、大福餅を売っていた。
貞を思い朝吉は四国の貞の生家を訪れ、老母・ふく（武智豊子）を連れて帰って来た。
村で朝吉の歓迎会があり、参加する筈の月枝（浜田ゆう子）は進駐軍に暴行され家を出た、月枝は朝吉の幼友達弥吉の妹で弥吉は戦死していた。
朝吉は月枝を探しに大阪へおふくとお照を訪ね、貞と似た男が阿倍野の闇市に居ると聞き行くと、月枝は釜ケ崎でパンパンになっていた。
もめていると元締の貞の弟・清次（田宮二郎）が現れ退会の会費を要求し、月枝を閉じ込めた。
朝吉と清次は殴りあい、朝吉はふくとお照の近くで闇市を始めた。
情婦・お雪（万里昌代）と清次は外国人のボス金子（沢村宗之助）から、闇市の土地の権利を買いとろうと金を貯めていた。
清次は朝吉の店に来ておふくとお照にあい、お雪を紹介した、そこの喧嘩で三国人と知り合い無理に飲まされた酒でつぶれた朝吉は、清次の事務所に泊まり、ピストルを騙し取り月枝を助け出し月枝は朝吉に惚れた。
朝吉はお雪の父の大淀組の勝（須賀不二男）を訪ね闇市のまとめを言われたが、手下の言葉で嘘と知った。
金子が朝吉の店に文句をつけ、勝が朝吉に闇市の立ち退きの相談するが朝吉は断った。
大淀組が闇市立ち退きに動き出し清次は金子に騙されていると知った。
金子は大淀組の勝（須賀不二男）と組んで清次は眼中になっくヤクザを使って闇市の強制立退きを図りはじめた。
＜以下、隠し字＞
清次はお雪の制止を振り切り、二連銃をもち殴り込むが監禁され、朝吉は闇市を守ろうときめ三国人も同調した。
大淀組が闇市に取り壊しに来たが、朝吉達は向かい討ち清次も逃げて来て加わり、大淀組は引き揚げた。
闇市の様子を見に来た勝と金子は、朝吉が清次に手榴弾をとり出さすと闇市は５年保障された。

監督：森一生
脚本：依田義賢
原作：今東光
出演者：勝新太郎・田宮二郎・中村玉緒・浜田ゆう子・藤原礼子・万里昌代・須賀不二男・沢村宗之助・武智豊子
制作年：1962年

感想： 戦後の混乱したが底は変わっていない世界を描く。
ヤクザが表向きだけ、会社を装い朝吉が遅れていると見えたが、結局は徐々に変わって行く途中だ。